医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2025.12.17Newコラム

乳歯のときに虫歯が多いと、大人になっても虫歯ができやすい? ——実は「必ずしも一致しない」というお話——

虫歯になった口腔内

こんにちは、大阪市中央区心斎橋駅から徒歩1分の西村歯科心斎橋診療所の秦です。

たまに治療をしていると患者さんがこんなことをおっしゃります。

「私、小さい頃から虫歯が出来やすくて、歯が弱いから〜。今もずっと虫歯の治療で歯医者にお世話になりっぱなしだわ〜」と

そう信じておられる方は少なくありません。

実際に「子どものころに虫歯が多かったから、大人になっても虫歯に悩み続けるのでは?」
こう感じている方は非常に多くいらっしゃいます。

しかし、結論からいうと、
乳歯期に虫歯が多かった人が、大人になっても必ず虫歯が多いとは限りません。

むしろ、大人になってから生活習慣を整え、予防意識が高い人は、
「子どもの頃より虫歯ができにくくなった」と感じることが多くあります。

では、なぜ乳歯期の虫歯経験は“大人の虫歯の量”と必ずしも一致しないのでしょうか?
ここでは、虫歯の本質、生活習慣との関係、そして予防方法について詳しく解説していきます。

1.まず知ってほしい大前提:虫歯は“感染症”ではありません

歯のレントゲン写真

一般的なイメージとして、虫歯は「虫歯菌がうつって起こる」と誤解されがちです。
しかし実際には、虫歯は風邪のように“感染して発症する病気ではありません”。

ミュータンス菌は多くの人の口の中に存在しており、菌がいること自体は異常ではありません。
重要なのは、

・虫歯菌が増えやすい環境になっているか
・歯が溶けやすい状態か
・糖が口の中に長時間残っているか

というように、虫歯が発生しやすい条件が整っているかどうかです。

つまり、虫歯が多いかどうかは“生活習慣”に強く影響され、
子どものころの虫歯の数が“大人の虫歯の本数”を決定づけるわけではないのです。

2.乳歯期に虫歯が多かったのは「体質」ではなく「生活環境」の影響が大きい

甘いドリンク

乳歯は永久歯より柔らかく、虫歯が進行しやすいという特徴があります。
そのため、生活習慣の影響を受けるとすぐに虫歯ができてしまいます。

乳歯期に虫歯が多い背景として、以下のような要因が考えられます。

● 間食が多い
子どもはお菓子やジュースを口にする回数が多く、食事の時間も不規則になりがちです。

● 歯磨きが十分にできていない
子ども自身では磨き残しが多く、仕上げ磨きが不十分なこともあります。

● 唾液の量が少ない/質が未熟
口を守る力が弱いため、虫歯の進行が早くなります。

● 定期的な予防メンテナンスを受けていなかった
フッ素やクリーニング、ブラッシング指導が不足し、虫歯リスクが高くなります。

これらは“体質”ではなく“環境”によるものです。
環境が変われば、虫歯のリスクは大きく変わります。

3.大人になったら虫歯が減る人が多い理由

成長すると、自分の意思で生活習慣をコントロールできるようになります。
その結果、多くの人が大人になってから虫歯が減ります。

たとえば、

・甘い物の摂取を調整できるようになる
・食事のリズムが整ってくる
・自分で歯磨きが丁寧にできるようになる
・定期的に歯科検診を受けやすくなる

など、口の中の予防環境が改善されやすいのです。

特に最近の歯科医療では、
「予防歯科」や「メンテナンス」の重要性が広く知られるようになり、
虫歯の発症率が昔より格段に下がっています。

乳歯期に虫歯が多かったとしても、
大人になって環境が整えば虫歯の少ない健康的な口腔状態を維持できます。

4.乳歯期の虫歯経験より“いまの習慣”のほうがはるかに重要

虫歯の発生には、「現在の生活習慣」が最も大きく影響します。

■ 虫歯になりにくくするポイント

以下の習慣を継続すると、虫歯リスクは劇的に低下します。

● 食生活のコントロール
間食は1日1〜2回まで
・ジュース・スポーツドリンクを控える
・寝る前の糖分を避ける
「どれだけ甘いものを食べたか」よりも
**「口の中に糖分が存在する時間」**が虫歯をつくります。

● プラークコントロール
デンタルフロスや歯間ブラシを使い、磨き残しを減らします。
歯科衛生士によるプロの清掃で、落としきれない汚れも除去できます。

● フッ素の活用
歯質が強くなり、細菌の出す酸に負けにくい歯を育てます。

● 定期的なメンテナンス
早期発見・早期対処ができるため、大きな虫歯になりにくくなります。

乳歯期に虫歯が多かったとしても、
これらを実践することで永久歯を虫歯から守ることができます。

5.逆に、乳歯期と同じ生活習慣だと“大人でも虫歯は増える”

甘いケーキ

乳歯期に虫歯が多かった人が大人になっても虫歯が多いケースは、
ほとんどが「生活習慣が変わっていない」ことが原因です。

たとえば:

・甘い飲み物を常に飲む
・だらだら食べ続ける
・歯磨きを適当に済ませてしまう
・歯科の定期検診に行かない

これらを続けていれば、
大人になっても虫歯が増えるのは当然のことです。

言い換えると、
“虫歯ができやすい体質”ではなく、“虫歯を作りやすい生活習慣”なのです。

6.虫歯の“遺伝”はほとんどありません

「虫歯になりやすい体質は遺伝する」という説もありますが、
実際には科学的根拠は弱く、ほとんど影響しません。

大切なのは、

・食生活
・プラークコントロール
・メンテナンス習慣

といった予防行動の継続です。

つまり、乳歯期に虫歯があった人でも、
いま正しい予防をすることで、将来の虫歯リスクは低くできます。

7.結論:大人になってからの習慣次第で、虫歯の多さは大きく変わる

乳歯の時期に虫歯が多かったとしても、
それが未来の虫歯の多さを決定づけるわけではありません。

虫歯は“感染症”ではなく、
以下の条件がそろったときに発生する「生活習慣病」です。

・糖の摂取頻度が高い
・プラークコントロールが不十分
・唾液が少ない・口が乾燥している
・メンテナンスを受けていない

そしてこれらは、
大人になった今からでも改善できます。

正しい磨き方を身につけ、食習慣を見直し、
歯科医院のメンテナンスを定期的に受けることで、
乳歯期の虫歯の多さとは関係なく、虫歯のない口を維持することができます。

大切なのは「過去」ではなく、
“これからどう口を守っていくか”という未来の習慣です。

8.「虫歯にならない人」は、特別な体質なのではなく“虫歯の仕組みを理解している人”

「私は歯磨きは適当だけど、甘いものを食べても虫歯にならないんです」という人がいます。
しかし、これは特別な体質ではなく、
虫歯ができるメカニズムの“リスク因子”が少ない生活を自然と送っているだけのことがほとんどです。

例えば、

・食事と食事の間隔が自然に空いている
・水分はお茶や水で摂ることが多い
・よく噛むため唾液が多く出る
・夜間に食べない
・歯並びが良く磨き残しが少ない

など、本人が意識していなくても虫歯になりにくい行動を取っているのです。

逆に、乳歯期に虫歯が多かった方の多くは、
「虫歯になりやすい行動」を無意識に習慣化していることがあります。

しかし、この習慣は大人になってからでも変えられます。
虫歯のリスク因子を理解し、それを減らしていくことがもっとも効果的な予防です。

9.予防メンテナンスは“治療の延長”ではなく“虫歯を作らないための投資”

ブラッシング指導の様子

日本では「歯医者=痛くなってから行く場所」という意識がまだ根強く残っています。
しかし、欧米ではすでに「歯医者=予防のために通う場所」という考え方が主流です。

定期的な予防メンテナンスには次のようなメリットがあります。

① 虫歯を初期段階で発見できる
小さな虫歯なら削らずに経過観察やフッ素などで進行を止められる場合があります。

② プロによるクリーニングでプラークを徹底除去
家庭での歯磨きだけでは落としきれないバイオフィルムを除去するため、
虫歯はもちろん歯周病予防にも効果があります。

③ 自分では気づきにくい生活習慣の偏りを知れる
間食の癖、歯磨きのクセ、歯ぎしりなどのリスクを客観的に把握でき、
改善しやすくなります。

④ 歯科衛生士による指導で“磨ける人”に変わる
歯磨きは「知っている」と「できる」が大きく違います。
専門家が個別にアドバイスすることで、磨き残しが大幅に減ります。

乳歯期の虫歯が多かった方ほど、
予防メンテナンスを習慣化することで永久歯を守る効果が非常に高いといえます。

10.“虫歯を作りにくい口”は、大人になってからでも育てられる

かつての歯科医療は“虫歯を治すこと”が中心でしたが、
現代では“虫歯ができにくい口をつくること”が主流です。

そのために必要なのは、
歯の強さ × プラーク量 × 糖の量と摂取頻度 × 唾液量 × 生活習慣
といった要素の総合的なコントロールです。

たとえ乳歯期に虫歯が多くても、大人になってから

・フッ素で歯質を強くする
・家庭でのプラークコントロールを改善する
・食生活を整える
・唾液が出やすい環境・習慣をつくる
・定期的にメンテナンスへ通う

などを習慣化すれば、虫歯リスクは大きく下がります。

これは年齢に関係なく、
今日から始めるだけで確実に効果が出る予防法です。

11.まとめ:乳歯期の虫歯は「未来の虫歯」を決めるものではない

ここまで述べた通り、
乳歯の虫歯が多かった=大人でも虫歯が多い
という図式は必ずしも成り立ちません。

むしろ、過去ではなく“今の習慣”が虫歯リスクを決定します。

・虫歯は感染症ではない
・虫歯の多さは生活習慣に左右される
・大人になれば自分の意思で歯を守れる
・予防メンテナンスがもっとも効果的
・正しい食生活とプラークコントロールで虫歯は確実に減る

乳歯期に虫歯が多かったとしても、
これからの取り組みしだいで“虫歯のない未来”を実現できます。

過去の虫歯の本数は変えられませんが、
これから未来の歯を守る習慣は、今日からいくらでも変えられます。

予防メンテナンスは当院にお任せください。

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