2024.07.03コラム
名医より名医院に
西村歯科心斎橋診療所・心斎橋インプラントセンター院長の秦です。
当院が週刊現代(2024年3月30日号)”名医たちが薦めるインプラント歯科医院100”に掲載されました。
掲載されております歯科医院はどこも私も存じ上げてます有名な医院で、当院を推薦していただきました名医の先生に感謝申し上げるとともに、スタッフ一同、身が引き締まる思いです。
実は15年ほど前も当医院はある雑誌で”インプラントの名医”として紹介されました。
当時も私は心斎橋診療所の院長を務めておりましたが、今回掲載されている医院には当時も掲載されていた医院もありますし、まだ開業されておらず新たに掲載された医院もあります。
そこで私が感じるのは、15年前に掲載されていた医院はインプラント手術の技術が高く、症例数を多く手がけている医院でしたが、今回はインプラント症例数というよりも、インプラント手術の技術だけでなく、インプラントを長持ちさせるためのメンテナンスがしっかりしている医院が多いと感じました。
つまり”名医より名医院”が多く掲載されるようになったように思います。
インプラント治療は手術の技術と診断、そして噛み合わせや審美性、清掃性を考えた補綴物を作成する必要があり、メンテナンスを担当する衛生士は少しの変化も見逃さない注意力が必要です。
インプラントを長くお口の中で機能させるためには歯科医院の高いチーム力が必要です。
インプラント治療にたずさわった歴史が長い当院が変わらぬ理念と進化を手前味噌ですが記したいと思います。
1、インプラントの名医
2、インプラント治療の進化
3、名医から名医院に
4、創業から変わらないこと
5、これからの当院の目標
1、インプラントの名医
20年ほど前は歯科大学でインプラントを学ぶことがないため、インプラント治療を取り入れている医院は多くはありませんでした。
一般的な医院では症例数も少なく、インプラントを利用した大規模な欠損補綴(歯を失ったところに人工的に歯を補う治療)は一部の医院でしか対応ができませんでした。
その中で症例数が多く、上下の総インプラントや骨造成などの難易度の高い症例を理事長の西村先生を中心に当院では手掛けておりました。
当時は全てのスタッフがインプラント治療がスムーズに行えるように尽力しておりました。
一人の名医をチームでサポートするのが当時の心斎橋インプラントセンターだったと思います。
2、インプラント治療の進化
インプラントは機械加工インプラントの時代から粗面加工インプラントになった頃に大きな転機を迎えたと私は思います。
機械加工インプラントは取り扱いが非常に難しく(現在と比べて)、インプラントの骨結合も全てが上手くいくわけではありませんでした。
機械加工インプラントは初期固定と言われる、インプラント埋入手術を行った時に、インプラント体が骨に対してどれくらいの力で固定できたかが骨結合の成功を左右しました。
初期固定が低いと骨結合しにくいため、出来るだけ初期固定が高くなるように同心円状に骨を形成(削る)することがポイントでした。(現在もその重要性は変わりませんが)
インプラント手術の時は手がブレないようにハンドピースを持っている手だけでなく、反対の手でハンドピースのヘッドに指を添えます。
左側にインプラントを入れる場合は左手にハンドピースを持つことで、腕が弧を描かないので埋入位置がより正確になります。
どのような硬さの骨でも同じように、柔らかい骨でも初期固定を高くすることは至難の技です。
現在のインプラントはインプラント体表面が粗面加工されているため骨結合がしやすくなり、高い初期固定が得られなくても骨結合が達成することができるようになりました。(手術がいい加減でいいわけでは決してありません。)
インプラント手術前の画像診断も歯科用CTが導入され、レントゲンの読影力をカバーし質の高い診断ができるようになりました。
インプラント手術ガイドも進化し、正確なインプラント手術ができるようになりました。
インプラント手術に関わる様々なものの進化が一部の名医しかできなかった処置を多くの歯科医師ができるようにサポートされるようになりました。
4、名医から名医院に
ではインプラント治療は簡単になり、誰でもできるようになったのでしょうか?
その答えは”No”です。
骨がなければ骨造成が必要で、依然骨造成は高い技術と診断力が求められます。
また、インプラントを骨結合させることができても、長期に安定させるための知識や経験がないと正しい診断もできません。
インプラント治療後のメンテナンスで小さな異常のサインを見逃すことなく管理するには担当歯科衛生士にも高い知識とスキルが求められます。
でも歯科医師や歯科衛生士に高いスキルがあっても、受付を担当するスタッフの応対が悪ければメンテナンスにも行きたくないですよね。
それに、治療を説明するコーディネーターがインプラントの知識がなければ不安しかないですよね。
私たち心斎橋インプラントセンターのチームは”患者さんの健康のために”努力を惜しまないチームです。
インプラント治療を不安なく快適に、そして高い技術を提供する、お一人お一人に真摯に向き合い長く健康をサポートする。
それが私たち心斎橋インプラントセンター、西村歯科 心斎橋診療所です。
4、創業から変わらないこと
①インプラント手術前にお口の中を徹底的にクリーニングをします。
術前にお口の中を清潔にすることによって、感染のリスクを下げることができます。
この時間を利用し緊張した患者さんの気持ちのサポートもいたします。
②インプラント手術は専用の手術室でいたします。
全ての滅菌された器具を使用します。
術者もアシスタントも手術前にしっかり手洗い手指消毒を行い滅菌された手術着を着用いたします。
もちろん手術手袋も滅菌された使い捨てのものを使用します。
③手術翌日に症状確認のご連絡をさせていただきます。
患者さんの不安を取り除くためでもありますが、私たちの大切にしている想いもあります。
④今までインプラント治療されたすべての患者さんの模型、仮歯を保存しています。
保存している模型箱の一部
インプラント治療は的確に処置しますと長くお口の中で機能することができます。
その長い期間に隣の歯が悪くなるなどのアクシデントが起きるかもしれません。
そんな時に以前使用されていた仮歯や模型が保存されていると患者さんが困ることなくすぐに対応ができます。
長くお付き合いをするからこそ、創業から変わない”当たり前”です。
先日20年ぶり(私が院長に就任する前)に来院された方がいらしたのですが、模型は保存されていました。
5、これからの当院の目標
当院は10年以上前からMTM(メディカル トリートメント モデル)を導入しております。
今”あなたの医院で最も力を入れていることはなんですか?”と聞かれると”予防です!”とお答えします。
歯を失った場合、インプラント治療は良い選択肢ではありますが、私たちは歯を失わない事、生涯自分の歯で食事ができることを第一に考えております。
歯を守ることは健康を守ることになります。
しかし現代では歯を守るだけでは健康を維持できないかもしれません。
”現代人は感覚と栄養の欠乏”により様々な不調をきたしております。
重力に対してまっすぐ立つことが出来ていれば、生涯自分の足で歩くことが可能になります。
脳への正しい信号が入力できれば感覚の欠乏を改善できるかもしれません。
お口の中は脳への刺激が良くも悪くも影響しやすい器官です。
歯科医師としてはその器官を担当している分責任は重大ですが、お口の中だけでは対応できないケースも多く存在します。
そのような場合は運動指導者の力が必要と考えています。
これからの当院は患者さんの健康を守るため運動指導者との連携を目標としております。
もう一つは栄養(食事)です。
”人は今まで食べてきたもので出来ている”
分子栄養学的なアプローチでの食事指導は現在も取り入れております。
しかしまだまだスタッフ全員が理解し実行は出来ていません。
患者さんの健康を守るため必ず必要になることなので、スタッフみんなが習得し全ての患者さんに提供することが目標です。
お口から始まるトータルヘルスケア。
私たちはインプラントの名医院として患者さんお一人お一人を大切に、予防をベースとした高い水準の医療を提供していきます。