2026.07.01Newコラム
歯周病と糖尿病はなぜ関係するの?内科医も注目する意外なつながり

こんにちは。大阪市中央区心斎橋にある西村歯科心斎橋診療所(心斎橋インプラントセンター併設)院長の秦です。
「歯医者さんでなぜ、糖尿病のことを聞かれるのだろう?」 そんな疑問を持たれたことはありませんか?
実は近年、歯科医療の世界だけでなく、内科の医師の間でも「歯周病と糖尿病の深い関係」が非常に大きな注目を集めています。「お口の中の病気」と「全身の病気」という一見、全く関係のなさそうな2つですが、現代の医学では「お口の健康を守ることが、全身の健康を守る第一歩である」ということが科学的に証明されているのです。
当院は、数多くのインプラント治療をはじめとする精密な歯科治療に携わってまいりました。その経験の中で私たちが何よりも大切にしているのは、悪くなった歯を治すこと以上に、「大切なご自身の歯やインプラントを長持ちさせるための予防」であり、そのためには「患者さんご自身が納得し、安心して治療を受けられるための丁寧な説明」です。
今回は、皆さんが過度な不安を感じることなく、前向きにお口と体の健康に向き合っていただけるよう、歯周病と糖尿病の「意外なつながり」について、分かりやすい言葉で丁寧にお話しさせていただきます。
目次
1. そもそも「歯周病」と「糖尿病」ってどんな病気?
関係性をお話しする前に、まずはそれぞれの病気がどのようなものであるか、簡単におさらいしてみましょう。
歯周病は「骨を溶かす、自覚症状のないお掃除不足の病気」
歯周病は、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)に溜まった歯垢(プラーク)の中にいる「歯周病菌」という細菌が引き起こす、それが歯周病です。

初期の段階では、歯ぐきが少し赤くなったり、歯磨きの時に出血したりする程度で、痛みはほとんどありません。ここが歯周病の怖いところで、痛まないために放置されてしまいがちです。
しかし、進行すると歯を支えている周りの骨(歯槽骨)がじわじわと溶けていき、最終的には歯がグラグラになって抜けてしまう病気です。
糖尿病は「血液中の糖分がうまく処理できなくなる病気」
私たちは食事から栄養(糖分)を摂り、それをエネルギーに変えて生きています。このとき、膵臓(すいぞう)から出る「インスリン」というホルモンが、血液中の糖分(血糖)を細胞に取り込む手助けをしています。

糖尿病は、このインスリンの量が不足したり、働きが悪くなったりすることで、血液中に糖分があふれてしまう(血糖値が高い状態が続く)病気です。血糖値が高い状態が続くと、全身の血管がダメージを受け、さまざまな合併症(目や腎臓、神経の障害など)を引き起こす原因になります。
2. なぜ関係するの?2つの病気を結ぶ「炎症物質」の正体
では、本題である「なぜお口の病気である歯周病が、お腹や全身の病気である糖尿病に関係するのか」という仕組みを紐解いていきましょう。
キーワードは「炎症(えんしょう)」と「血液の巡り」です。
つながりのメカニズム:お口の毒素が全身を巡る
歯周病が進行すると、歯ぐきの内部は常に強い炎症を起こした状態になります。これは、いわば「歯ぐきの中に絶えずジュクジュクとした傷口がある」のと同じ状態です。
1. 歯ぐきの傷口から細菌の毒素が侵入: 歯周病菌や、それらが作り出す毒素が、歯ぐきの毛細血管から血液の中へと入り込みます。
2. 血液に乗って全身へ: 血管に入った毒素は、血流に乗ってあっという間に全身を巡ります。
3. インスリンの邪魔をする物質(TNF-αなど)の発生: 血液中に侵入した歯周病菌の毒素に対して、体の防御システムが働きます。このとき、体内で「サイトカイン(特にTNF-αなど)」と呼ばれる炎症を引き起こす物質が大量に作られます。
4. 血糖値が下がりにくくなる: この炎症物質(サイトカイン)には、実は「インスリンの働きを邪魔してしまう」という非常に困った性質があります。
その結果、インスリンが十分に働けなくなり、細胞が血液中の糖分をうまく吸収できなくなって、血糖値が上昇してしまうのです。
つまり、「歯周病があることで、糖尿病が悪化しやすくなる」という関係が成り立ちます。
3. 「双方向」の影響:お互いに悪循環させてしまう関係
歯周病と糖尿病の恐ろしいところは、一方向の悪影響だけでなく、お互いが相手を悪化させる「負のスパイラル(悪循環)」に陥りやすいという点にあります。
【負のスパイラル】
歯周病で歯ぐきに炎症が起きる
↓(炎症物質がインスリンを邪魔する)
血糖値がコントロールできなくなる(糖尿病の悪化)
↓(体の免疫力が落ち、組織が硬くなる)
歯ぐきの血管が傷つき、歯周病菌に負けやすくなる
↓
歯周病がさらに悪化する
糖尿病が歯周病を悪化させる理由
糖尿病になると、体が細菌と戦う力(免疫力)が低下します。また、高血糖の状態は血管にダメージを与えるため、歯ぐきの微細な血管も血流が悪くなり、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなります。さらに、お口の中が乾きやすくなる(唾液の減少)ため、お口の中の細菌が繁殖しやすい環境が整ってしまいます。
このように、「糖尿病があるお体は、歯周病菌に対して非常に弱くなってしまう」のです。そのため、糖尿病の方はそうでない方に比べて、歯周病にかかるリスクが約2倍以上、進行するスピードも早いと言われています。
4. 明るいニュース:歯周病を治すと、糖尿病も良くなる!

ここまで少し怖いお話をしてしまいましたが、ここからが一番お伝えしたい「前向きで明るいニュース」です。
この2つの病気が深く結びついているということは、逆を言えば「歯周病をきれいに治療してコントロールすれば、糖尿病の症状(血糖値)も改善する」ということなのです。
実際に、多くの医学研究や内科・歯科の共同研究において、歯周病の治療(歯石の除去や丁寧なプラークコントロール)を行うことで、糖尿病の管理指標である「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」の数値が改善することが実証されています。
その改善効果は、一般的な糖尿病のお薬を1種類追加したときと同じくらいに匹敵するとも言われており、これには内科の医師たちも非常に驚き、注目しています。

当院が掲げる「予防を中心としたお口のケア」は、単に歯を守るためだけではなく、皆さんの大切な体全体の健康を守り、生活の質を高めるためのものでもあるのです。
5. 当院が大切にする「丁寧な説明」と「怖くない・痛みの少ない治療」
お口の健康が全身に関わると聞くと、「早く治療しなきゃ…でも歯医者は怖いな」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
特に、過去に歯科治療で痛い思いをされたり、説明がないまま治療を進められたりした経験がある方は、足が遠のいてしまうのも当然のことです。
西村歯科心斎橋診療所では、そのような患者さんの不安な気持ちに徹底的に寄り添い、以下のような体制で治療を行っています。
① インプラント経験が豊富だからこそ、歯周病治療を徹底します
当院は「心斎橋インプラントセンター」を併設しており、難症例を含む数多くのインプラント治療を行ってまいりました。インプラントは第二の永久歯とも呼ばれる素晴らしい治療法ですが、実は「インプラントも歯周病(インプラント周囲炎)になる」という性質があります。
インプラントを長く、安心して使い続けていただくためには、土台となる歯ぐきの健康、つまり「歯周病の予防と徹底的な管理」が絶対に欠かせません。インプラントの豊富な経験があるからこそ、私たちは歯周病という病気の怖さと、それを予防・治療することの重要性を誰よりも深く理解しています。
② まずは「しっかりお話しをすること」から始めます
私たちは、患者さんが「何をされるか分からない」という状態が一番の不安をコントロールできなくなる原因だと考えています。
そのため、当院ではカウンセリングの時間を十分に確保し、現在のお口の状態、なぜその治療が必要なのか、どのような手順で行うのかを、専門用語を使わずに分かりやすい言葉でしっかりとご説明します。
患者さんが納得し、笑顔で「お願いします」と言っていただけるまで、無理に治療を進めることは決していいたしません。
③ 可能な限り「痛みがない、不安がない」治療へのアプローチ

「歯医者=痛い、怖い」というイメージを払拭するため、当院では麻酔の段階から痛みを抑える工夫(表面麻酔の使用や、極細の針、一定の圧力で注入できる電動麻酔器の採用など)を徹底しています。
また、リラックスしてお過ごしいただけるような院内環境づくりやお声がけを徹底し、心の負担も最小限にできるよう努めています。
6. ホームページからの引用:当院のインプラントと予防への想い
ここで、当院の公式ホームページより、私たちの治療に対する基本姿勢と、患者さんへの約束についてご紹介させていただきます。
当院のインプラント治療への取り組みと想い
当院では、患者様一人ひとりに合わせた最適なインプラント治療をご提案しています。確かな技術と豊富な経験に基づき、安全性を最優先にした治療を心がけております。また、治療が終わってからが本当のスタートであると考え、長く快適に使用していただくためのメンテナンスや、歯周病を防ぐための予防歯科プログラムに力を入れています。 (引用元:西村歯科心斎橋診療所 公式ホームページ「インプラント治療について」https://licca-implant-center.com/ )
この引用からもお分かりいただけるように、私たちはインプラントという精密な治療を提供する一方で、その基礎となる「予防」「歯周病コントロール」を何よりも重く受け止めています。
歯周病をしっかりと管理することは、インプラントを守るためであり、天然の歯を守るためであり、そして今回お話ししたように「糖尿病」などの全身疾患から皆さんの体を守るためなのです。
7. 今日からできる!お口と体を守る予防の習慣
最後に、皆さんが今日から始められる、歯周病と糖尿病を予防・改善するための小さくて大切な習慣をご紹介します。
・毎日の丁寧なセルフケア(歯磨き): 歯ブラシだけでなく、「歯間ブラシ」や「デンタルフロス(糸ようじ)」を必ず1日1回は使いましょう。歯周病菌は歯と歯の隙間に潜んでいます。これらを使うだけで、汚れの除去率は大幅にアップします。
・「お口の乾燥」を防ぐ: 唾液には強い抗菌作用があります。よく噛んで食べることで唾液の分泌を促したり、こまめに水分補給をしたりして、お口の中を潤すようにしましょう。
・定期的な歯科検診(プロによるクリーニング): どんなに上手に歯を磨いていても、歯ブラシが届かない場所の汚れや、硬くなってしまった「歯石」は、ご自身で落とすことができません。3ヶ月〜半年に1回、歯科医院でプロによるお掃除(クリーニング)を受けることが、最大の予防であり、全身の健康維持につながります。
まとめ:あなたの健康な未来のために
歯周病と糖尿病のつながりは、お口の健康がどれほど全身に影響を与えているかを教えてくれる大切なサインです。「たかが歯ぐきの腫れ」と見過ごさず、適切なお手入れをしてあげることで、お体全体を健やかに保つことができます。
私たちは、あなたがこれからの人生を、美味しいものをしっかり噛んで食べ、元気に笑顔で過ごせるよう、全力でサポートさせていただきます。
少しでもお口の中に違和感がある方、あるいは「最近歯医者に行っていないな」「糖尿病の数値が気になり始めたな」という方は、ぜひ一度、お気軽にご相談にいらしてください。スタッフ一同、痛みのない、丁寧な治療でお待ちしております。
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