医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2025.11.12Newコラム

「治したはずなのに…」治療後の歯の痛みに悩むあなたへ~神経のある歯が痛む5つの主な原因と対策~

歯科治療の様子

こんにちは。大阪市中央区心斎橋駅から徒歩1分にある西村歯科心斎橋診療所(心斎橋雲プラントセンター併設)、院長の秦です。

歯科医院での治療が終わり、「これで一安心」と思われたにもかかわらず、治療したはずの歯がズキズキと痛んだり、しみたりといった症状に悩まされることはありませんか?

特に、歯の神経(歯髄)を残す治療を行った歯に痛みが出ると、「治療が失敗だったのでは?」と不安に感じられる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、ご安心ください。治療後の痛みには、いくつかの理由が考えられ、多くの場合、適切な対応で改善が見込まれます。

このコラムでは、「神経のある歯」が治療後に痛む主な原因と、それに対してどのような対策が考えられるのかを、専門的な視点から、わかりやすく丁寧にご説明いたします。ご自身の歯の状態を理解し、不安を解消するための一助となれば幸いです。

1.虫歯の「感染した歯質」がわずかに残ってしまった可能性

虫歯治療のイメージ

虫歯の治療では、感染した歯質(むし歯菌に侵された部分)を徹底的に削り取ることが非常に重要です。しかし、歯の神経(歯髄)をなるべく残すことを最優先する場合、神経ギリギリの深さまで虫歯が進行していると、歯科医師は細心の注意を払って削る必要があります。

【原因の解説】

感染した歯質を完全に取り除くためには、時に歯の神経まで到達するリスクを伴います。神経を残す「温存治療」を選択した場合、歯の神経を刺激し炎症を起こすのを避けるため、ごくわずかに感染した可能性のある層を、あえて残すことがあります。

これは、神経を残すことのメリット(歯の寿命を延ばす、歯がもろくなりにくいなど)を優先するための判断です。しかし、このわずかに残した感染源が、後から神経を刺激して炎症を起こし、痛みやしみる症状を引き起こすことがあります。

感染した歯質を取り除いて、少し神経が露出した場合は”生活歯髄断髄法=Vital pulp therapy”を選択し観戦したるであろう歯髄(歯の神経)の一部のみ除去をし、MTAセメントにて封鎖します。

【考えられる対策】

このタイプの痛みは、多くの場合、一時的なもので、数日から数週間で神経が落ち着き、症状が緩和することが期待されます。しかし、痛みが引かない、または悪化する場合は、残された感染源が原因である可能性が高まります。その際は、再度診査を行い、残念ながら神経の治療(根管治療)が必要になることもあります。

2.詰め物・被せ物を接着する「接着操作」が十分でなかった可能性

コンポレットレジン

詰め物や被せ物(補綴物)を歯に装着する際、歯科用の特別な接着剤を用いて強固に固定します。この接着のプロセスは非常にデリケートであり、治療後の歯の寿命に大きく関わってきます。

【原因の解説】

詰め物や被せ物と歯の間に隙間ができないよう、接着剤で完全に密着させることが求められます。しかし、治療中に唾液や血液などの水分がわずかでも入り込んでしまったり、接着操作の過程で何らかの問題が生じたりすると、**「マイクロリーケージ(微小な漏れ)」**と呼ばれる、目に見えないほどの小さな隙間ができてしまうことがあります。

この隙間から、治療後に口腔内の細菌が侵入し、深部にある歯の神経を刺激したり、再び虫歯を発生させたりすることで、痛みにつながることがあります。

【考えられる対策】

精密な接着操作を行うためには、ラバーダム防湿(治療する歯以外をゴムのシートで覆う方法)などを用いて、治療部位を完全に隔離し、乾燥した状態を保つことが重要です。接着不良が痛みの原因と考えられる場合は、詰め物や被せ物を外し、再治療が必要になることがあります。

3.装着した「補綴物と歯」の間に隙間が生じている可能性

歯科治療の様子

治療した歯を保護するために装着した被せ物や詰め物(補綴物)は、歯にぴったりと適合していなければなりません。この適合性が不十分だと、問題が生じます。

【原因の解説】

被せ物や詰め物の形が、患者様の歯の形と完全に一致していない場合、特に縁の部分にごくわずかな段差や隙間が生じることがあります。

この隙間は、接着不良と同様に細菌の侵入を許してしまいます。また、隙間に食べ物のカスが詰まりやすくなり、そこから細菌が繁殖して、歯の深部への感染(二次う蝕)や、歯ぐきの炎症を引き起こし、痛みや違和感の原因となります。

被せ物、詰め物には精度が高い治療が必要になります。

詳しくはコラムの”自費治療と保険治療の違い 被せ物編”をご参考になさってください。

【考えられる対策】

補綴物が完成した際には、歯科医師は適合状態を厳密にチェックしますが、装着後の使用や経年劣化によって隙間が生じることもあります。痛みが続く場合は、適合性を再評価し、もし隙間が見つかれば、補綴物を新しく作り直すなど、適切な処置が必要となります。

4.治療前の「プラークコントロール」が十分でなかった影響

虫歯治療を行う前のお口の状態、特に歯磨きなどのセルフケア(プラークコントロール)が十分に行われていなかったことも、治療後の痛みに間接的に影響を及ぼすことがあります。

【原因の解説】

プラーク(歯垢)とは、細菌の塊です。治療を受ける前の段階で、お口の中全体のプラークが非常に多かったり、歯周病が進行していたりすると、口腔内全体の細菌の量が多い状態にあります。

このような環境で虫歯治療を行っても、治療部位に細菌が再侵入するリスクが高まります。また、治療によって歯の組織が一時的にダメージを受けて敏感になっているところに、周囲の高い細菌濃度が持続的な刺激となり、炎症を長引かせたり、痛みを悪化させたりすることがあります。

【考えられる対策】

虫歯治療と並行して、または治療後も継続して、プラークコントロールの改善が不可欠です。正しい歯磨き方法の指導を受け、歯科医院での定期的なプロフェッショナルクリーニングを受けることで、お口の中の細菌の数を減らし、治療した歯を長持ちさせ、痛みの再発を防ぐことができます。

5.治療を受ける前の段階で「歯髄(神経)に感染」が広く及んでいた可能性

神経に達した虫歯

最も深刻な原因の一つが、治療前にすでに歯の神経(歯髄)にまで、細菌感染が広範囲に及んでいたというケースです。

【原因の解説】

虫歯が非常に深く進行している場合、見た目にはまだ神経まで達していないように見えても、実際には歯の神経の細い枝分かれの部分まで細菌が侵入し、歯髄炎という炎症を起こしていることがあります。

この状態で神経を残す治療を行った場合、治療の刺激や、残存したわずかな細菌感染が引き金となり、神経の炎症が一気に悪化してしまいます。特に、治療後もズキズキとした強い痛みが続く、温かいもので痛みが増すといった症状、夜間に強く痛むなどの症状があれば歯髄の不可逆的な炎症(元に戻らない炎症)を示している可能性が高くなります。

【考えられる対策】

この場合は、残念ながら歯の神経を救うことが難しく、**神経を取り除く「根管治療(こんかんちりょう)」**が必要となります。根管治療によって、歯の根の中の感染源を徹底的に除去することで、痛みを根本的に解消することができます。

おわりに

治療後の歯の痛みは、「神経が頑張って治ろうとしている証拠」である場合もあれば、「再度の治療が必要なサイン」である場合もあります。

もし治療後に気になる痛みや違和感が続くようでしたら、「様子を見る期間」を自己判断で長くしすぎず、すぐに私たち歯科医師にご相談ください。痛みの種類や強さ、期間を詳しくお伺いし、レントゲン検査などで歯の状態を正確に把握することで、その痛みの真の原因を特定し、患者様にとって最適な治療方法をご提案いたします。

当院では、患者様の大切な歯を一本でも長く健康に保つため、精密な診査と丁寧な治療、そして治療後の適切なメインテナンスを心掛けております。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

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