医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2026.03.11Newコラム

できるだけ少ないインプラントで噛めるようにする。

インプラントのレントゲン

こんにちは、大阪市中央区心斎橋にある西村歯科心斎橋診療所(心斎橋インプラントセンター併設)院長の秦です。

歯科医師として、日々多くの患者さまと向き合う中で、特に入れ歯(総義歯)でお悩みの方から切実なご相談をいただく機会が増えています。

「食事が楽しめない」「話している途中に外れそうで怖い」「笑うときに手で口元を隠してしまう」……。

こうしたお悩みは、単なるお口の中の問題だけでなく、生活の質(QOL)や心の健康にまで深く関わっています。私たちは、インプラント治療の豊富な経験を活かしつつ、「予防」を軸に、いかにして皆さまが再び自信を持って笑い、美味しく食事を摂れるようになるかを最優先に考えています。

今回は、総入れ歯が外れやすくてお困りの方へ、「2〜4本のインプラントで入れ歯をしっかり固定する治療法(インプラントオーバーデンチャー)」について、詳しく、そして分かりやすく解説させていただきます。

1. なぜ総入れ歯は外れやすくなってしまうのか?

総入れ歯の模型

まず、なぜ入れ歯が外れるようになるのか、その原因を正しく知ることから始めましょう。

総入れ歯は、お口の粘膜と入れ歯の裏側の面が「吸盤」のような仕組みで吸着することで維持されています。しかし、以下のような要因でその維持力は低下していきます。

・顎の骨の吸収(痩せ): 歯を失うと、それを支えていた骨(歯槽骨)は刺激を失い、少しずつ痩せていきます。土台が低くなれば、吸着力も弱まります。
・お口の乾燥(ドライマウス): 入れ歯を吸着させるには、適度な「唾液」が必要です。加齢や内服薬の影響で唾液が減ると、密封性が失われて外れやすくなります。
・お口の動きの変化: 噛み合わせや舌の動き、頬の筋力の変化により、入れ歯を押し出す力が働いてしまうことがあります。

「何度も作り直したけれど、どうしても合わない」という方は、決してあなたのせいではありません。土台となるお口の環境が変化しているからなのです。

2. 解決策としての「2〜4本のインプラント」という選択肢

「インプラント」と聞くと、「骨に何本も埋め込む大きな手術」というイメージを持たれるかもしれません。しかし、今回ご紹介するのは、ご自身の入れ歯をインプラントで「支える・留める」という、負担を抑えつつ効果を最大化する方法です。

インプラントオーバーデンチャーとは?

これは、顎の骨に2本から4本の短いインプラントを埋入し、それを「ボタン」や「磁石」のような留め具として使い、入れ歯をパチっと固定する治療法です。

・2本の場合: 主に下の顎で用いられます。左右の犬歯あたりに埋め込み、シーソーのような動きを抑えます。
・4本の場合: 上の顎や、より強い安定感を求める下の顎に。前後左右で支えるため、ガタつきがほとんどなくなります。

3. この治療法が選ばれる「5つのメリット」

食事をする高齢夫婦

当院でこの治療を受けられた患者さまが、特に喜ばれるポイントをまとめました。

① 「噛む力」が劇的に回復する

従来の入れ歯は、歯茎だけで支えるため、天然の歯の20%〜30%程度の力しか出せないと言われています。インプラントで固定すると、骨が直接力を受け止めてくれるため、ステーキやたくあん、お煎餅など、諦めていた食べ物を再び楽しめるようになります。

② 会話中に外れる心配がない

大きな口で笑ったり、くしゃみをしたりしても、入れ歯が飛び出す心配がありません。お友達との旅行や食事会も、心から楽しめるようになります。

③ 違和感が少なく、見た目も自然

しっかり固定できるため、従来の総入れ歯よりも装置を小さく(薄く)作れる場合があります。特に上の入れ歯では、上顎(口蓋)を覆う部分を大きくくり抜くことができるため、食べ物の熱さや味を感じやすくなります。

④ 手術の負担が比較的少ない

すべての歯をインプラントにする(10本以上埋めるような治療)に比べ、埋入本数が少ないため、手術時間が短く、術後の腫れや痛みも抑えられます。お身体への負担を心配されている高齢の方にも適した方法です。

⑤ 費用を抑えつつ効果を得られる

本数が少ない分、全顎的なインプラント治療に比べて費用を大幅に抑えることが可能です。

4. 痛みが不安な方へ:当院の「安心へのこだわり」

インプラント手術の様子

「手術」という言葉に抵抗を感じる方は少なくありません。私たちは、患者さまの不安を最小限にすることを最も大切にしています。

・丁寧なカウンセリング: 専門用語を使わず、CT画像や模型を使って「今、骨がどうなっているか」「どこに、どのように入れるか」を納得いくまでご説明します。
・精密な診断(CT完備): 骨の厚みや神経の位置を0.1mm単位で把握し、安全なルートをシミュレーションします。
・痛みに配慮した麻酔: 針を刺す前の表面麻酔はもちろん、コンピューター制御の電動麻酔器を使用し、不快な圧迫感や痛みを取り除きます。
・リラックスできる環境: 「何をされているか分からない」という恐怖がないよう、治療中もこまめにお声がけをしながら進めてまいります。

5. 治療の流れ:一歩一歩、一緒に進みましょう

1.初診・カウンセリング: 現在のお悩みをお聞きし、お口の中を拝見します。
2.精密検査: レントゲンやCT、お口の型取りを行います。
3.治療計画のご提案: 本数や費用、期間について詳細にご説明します。ここで無理にお勧めすることはありません。
4.インプラント埋入手術: 局所麻酔を行い、安全に配慮してインプラントを植立します。
5.治癒期間: 骨とインプラントが結合するのを待ちます(数ヶ月程度)。この間も、調整した仮の入れ歯をお使いいただけます。
6.入れ歯の装着・調整: インプラントにアタッチメント(留め具)を取り付け、専用の入れ歯を装着します。
7.メインテナンス(予防のスタート): ここが一番重要です。

    6. 私たちが「予防」を重視する理由

    インプラントは「入れたら終わり」ではありません。私たちはインプラントの経験が豊富だからこそ、その後の「長持ちさせるためのケア」を何よりも重視しています。

    インプラント自体は虫歯になりませんが、周囲の歯茎が炎症を起こす「インプラント周囲炎」という病気になるリスクがあります。せっかく手に入れた「しっかり噛める喜び」を一生守っていくために、私たちは予防のプロとして以下のサポートを行います。

    ・プロによるクリーニング: ご自身では届かない部分の汚れを取り除きます。
    ・入れ歯の清掃指導: インプラントを支える土台部分と、入れ歯本体の正しいお手入れ方法をお伝えします。
    ・噛み合わせのチェック: 噛み合わせがズレると、特定のインプラントに負担がかかりすぎることがあります。定期的な微調整が長持ちの秘訣です。

    7. 「もう一度、笑いたい」というお気持ちに応えたい

    笑顔いっぱいの家族

    最後にお伝えしたいのは、お口の健康は「生きる意欲」に直結しているということです。

    食べたいものが食べられないストレスは、想像以上に心身を疲弊させます。また、人前で話すのをためらうようになると、社会的な交流が減り、心まで塞ぎ込んでしまうこともあります。

    私たちは、単に「歯を作る」のではありません。患者さまが**「これからの人生を、笑顔で活動的に過ごすための土台」**を作りたいと考えています。

    インプラントオーバーデンチャーは、現代の歯科医療が提供できる、非常に合理的で患者さまに優しい解決策の一つです。今の入れ歯に少しでも不満があるなら、まずは相談だけでも構いません。あなたの「不安」を「安心」に変えるお手伝いをさせてください。

    よくあるご質問(Q&A)

    Q1.手術の痛みや腫れが心配です。高齢でも大丈夫でしょうか?

    A1.ご安心ください。インプラントを埋める本数が2〜4本と少ないため、手術時間は短く、お身体への負担は最小限に抑えられます。術後は軽い腫れが出ることがありますが、痛み止めでコントロールできる範囲です。当院では持病をお持ちの方にも配慮し、血圧などを確認しながら、無理のない計画を立てて進めてまいります。

    Q2.今使っている入れ歯をそのまま使えますか?

    A2.状態が良いものであれば、現在の入れ歯の内側に「受け」のパーツを取り付けて改造し、そのまま使用できるケースも多くあります。新しく作り直す必要がある場合も、噛み合わせのバランスを精密に調整し、インプラントの力を最大限に活かせる設計をご提案します。

    Q3.お手入れは難しいですか?

    A3.全く難しくありません。ご自身で取り外して、普通の入れ歯と同じように洗浄していただけます。また、お口の中に残るインプラントの突起部分も、専用のブラシで優しく磨くだけで清潔に保てます。定期検診では私たちがプロの技術で徹底的にクリーニングを行いますので、一緒に長持ちさせていきましょう。

    まずは、今お使いの入れ歯を拝見しながら、どのタイプのアタッチメントがあなたに最適か、シミュレーションしてみませんか?

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