2025.12.19Newコラム
「グルテン・カゼイン・砂糖は要注意?腸と呼吸と歯並びを整える子どもの予防矯正」

「歯並びは遺伝だから仕方ない」そう思っている親御さんは今でも多くいらっしゃいます。
しかし近年の歯科や発育研究では、歯並びは“遺伝2%・生活環境98%”
と言われるほど、生活習慣が大きく影響していることがわかっています。
特に影響が大きいのが、
✔ 何を食べるのか(食生活)
✔ どう呼吸するのか(口呼吸 or 鼻呼吸)
✔ 舌はどこにあるか(舌の位置)
この3つです。
そしてこの中で、実は“最初に見直すべきもの”が食生活です。
なぜなら、
食べ物は子どもの体をつくる材料そのものであり、口の機能や呼吸の質を左右する根本だからです。
日本の子どもたちはパン・パスタ・お菓子・牛乳などを毎日のように口にするため、グルテン(小麦)・カゼイン(乳製品)・砂糖の影響を強く受けやすい生活環境にあります。
このコラムでは、お母さんが「なるほど、食べ物ってここまで影響してるんだ」と“腑に落ちる”ようにわかりやすく解説していきます。
目次
- 1 1 現代の子どもは食生活の変化で口を使う力が弱っている?
- 2 2−1 グルテンとは何か?現代の子どもが摂りすぎる理由
- 3 2−2 グルテンが腸に負担をかけるしくみ
- 4 2−3 グルテンが呼吸や姿勢にまで影響する理由
- 5 3 カゼインとは?
- 6 3−1 カゼインが鼻づまり・口呼吸につながる理由
- 7 4−1 砂糖が与えるお口と体への影響が想像以上に大きいワケ
- 8 4−2砂糖が集中力を奪う“血糖値ジェットコースター”とは?
- 9 5 食生活の乱れがもたらす“噛む力”の低下と顔の発育への影響
- 10 6 「グルテン・カゼイン・砂糖を見直すとどんな変化が起きる?」
- 11 7 家庭でできる小さな工夫:食生活による“予防矯正”の始め方
- 12 まとめ:食べ物は子どもの未来をつくる“最初の矯正”
1 現代の子どもは食生活の変化で口を使う力が弱っている?

昔の子どもたちの食事と比べると、現代は次のような変化があります。
・柔らかい食べ物が増えた
・噛む回数が減った
・小麦(グルテン)を摂る量が増えた
・乳製品(カゼイン)の頻度が高い
・砂糖の摂取量が圧倒的に多い
この変化は、“口を使う力” を弱くします。
噛む力が弱いと、舌・頬・唇の筋肉が育たなくなり、
その結果、歯が並ぶスペースが狭くなって歯列が乱れやすくなるのです。
さらに食生活の乱れは、
✔ 呼吸
✔ 集中力
✔ 姿勢
✔ 寝つき
✔ 情緒
にも影響し、結果的にお子さんの成長すべてに関わってきます。
ここからは、特に影響の大きいグルテン・カゼイン・砂糖について詳しく見ていきましょう。
2−1 グルテンとは何か?現代の子どもが摂りすぎる理由

グルテンは小麦に含まれるタンパク質で、パンやパスタの“もちもち感”の元になる成分のことです。
現代の子どもがグルテンを摂りすぎる理由はシンプルです。
・朝:パン、シリアル
・昼:パンケーキ、パスタ
・間食:クッキー、クラッカー
・夕方:うどん、、ラーメン、揚げ物
一日を通して「気づいたら小麦だらけ」という家庭は珍しくありません。
このグルテンは体質によっては分解する酵素が弱い人がいらっしゃいます。
体質が合えば問題ありませんが、合わない子にとっては 「毎食アレルゲンを摂っている状態」 に近いのです。
2−2 グルテンが腸に負担をかけるしくみ

グルテンは、水を含むと強い粘りが出る性質を持つタンパク質です。
この粘りが、分解が苦手な子にとっては“腸の壁にへばりつくような状態”になってしまうことがあります。
たとえるなら…
👉 排水溝に油膜がこびりつき、水の流れが悪くなる感じ
この“流れの悪さ”が、子どもの体に次のような影響を与えます。
✔ 腸に軽い炎症が起きる
✔ 栄養の吸収率が下がる
✔ 免疫バランスが乱れる
腸が弱れば、当然体の成長にも影響します。
2−3 グルテンが呼吸や姿勢にまで影響する理由

グルテンによって腸に負担がかかると、身体は“炎症”を起こしやすくなります。
この炎症は鼻粘膜にも影響しやすく、次のような変化を引き起こすことがあります。
✔ 鼻づまり
✔ アレルギー症状の悪化
✔ 花粉症の強まり
✔ 呼吸が浅くなる
鼻が詰まると自然と口呼吸になります。口呼吸が続くと舌が下がり、上あごが広がりにくくなるため歯列が狭くなってしまいます。
また、腸の違和感は姿勢ともつながっています。
腸が張ったり痛みがあると、体を縮こまらせて守ろうとするため、猫背姿勢が習慣化しやすくなるのです。
猫背になると…
👉 頭が前に出る
👉 下あごが後ろに下がる
👉 気道が狭くなる
👉 鼻呼吸がしづらい
👉 さらに口呼吸になる
という悪循環が起こります。
つまりグルテンは、
腸 → 鼻 → 呼吸 → 姿勢 → 歯並び
と連鎖反応を引き起こすことがあるため、見逃せない存在なのです。
3 カゼインとは?

カゼインとは、牛乳や乳製品に含まれるたんぱく質です。
アイス、ヨーグルト、チーズ、ホットミルクなど、子どもが好きな食品に多く含まれています。
カゼインは栄養価が高い一方、分解酵素が弱い子にとっては“負担のかかりやすいタンパク質”です。
特に、
・牛乳を飲むとすぐ鼻がグズグズする
・冬になると鼻水が止まらない
・気づけばいつも口が開いている
というお子さんは、カゼインが体質に合っていない可能性があります。
3−1 カゼインが鼻づまり・口呼吸につながる理由
カゼインは、体で分解されるときに“粘り気のある物質”を作ることがあります。
この粘りが、体質によっては“鼻や喉に残りやすくなる”のです。
すると、
✔ 鼻の通りが悪くなる
✔ 常に鼻がムズムズする
✔ 後鼻漏(鼻水が喉に落ちる)になりやすい
✔ 寝ているときに口呼吸になりやすい
このような状態が続きます。
口呼吸になると、舌が下がり、上あごの成長が抑えられ、歯並びの乱れにつながります。
4−1 砂糖が与えるお口と体への影響が想像以上に大きいワケ

ここからは、多くのお母さんが「え、砂糖ってそんなに影響あるの?」と驚かれる部分です。
砂糖の影響は虫歯だけではありません。
✔ 集中力の低下
✔ イライラしやすさ
✔ 眠りの浅さ
✔ 姿勢の悪さ
✔ 呼吸の浅さ
✔ 運動能力の低下
これらすべてに関わります。
特に現代の子どもは、ジュース・菓子パン・お菓子・甘い調味料などで砂糖を摂る機会が多いため、
「気づかぬうちに依存状態になっている」ことも珍しくありません。
4−2砂糖が集中力を奪う“血糖値ジェットコースター”とは?

砂糖がに入ると血糖値が一気に上がり、そのあと急降下します。
この急上昇・急下降を“血糖値ジェットコースター”と呼びます。
血糖値が急降下したとき、体はこうなります。
👉 頭がぼーっとする
👉 イライラする
👉 椅子に座っていられない
👉 感情が安定しない
お母さんの中には
「甘いものを食べたあと、なんだか機嫌が悪い」
と感じた経験はありませんか?
それは性格ではなく、血糖値の乱れという“生理的な反応”なのです。
この状態が続くと、授業中の集中力低下や学習効率にも影響します。
5 食生活の乱れがもたらす“噛む力”の低下と顔の発育への影響

現代の子どもちは、やわらかい食べ物を食べることが多くなっています。
ハンバーグやパン、スナック菓子、プリンなど、「噛まなくても食べられる食事」が増えていますよね。
でも、この“噛む力の低下”こそが、歯並びや顔の発育に大きく関わっているのです。
噛むという行為は、歯やあごを発達させるだけでなく、顔全体の筋肉をバランスよく育てる大切な刺激です。
しっかり噛むことで、頬や舌、唇、口周りの筋肉が鍛えられ、自然と正しい舌の位置を保つことができます。
しかし、噛む力が弱いと舌がだらんと下がり、口呼吸が増えて、上あごが狭くなり、歯が並ぶスペースが足りなくなるのです。
さらに、噛む回数が少ないと唾液の分泌が減り、虫歯や口臭のリスクも上がります。
つまり、「噛む」という何気ない動作が、お口全体の健康を支える“土台”なのです。
だからこそ、日々の食習慣も見直すことがとても大切。
“よく噛む”という自然な行為を取り戻すことで、歯並びだけでなく、顔の美しい成長にもつながっていきます。
6 「グルテン・カゼイン・砂糖を見直すとどんな変化が起きる?」

親御さんが「食物を意識してみよう」と少し変えるだけで、子どもには驚くほどの変化が見られます。
実際に多いのはこんな変化です。
✔ 朝の目覚めが良くなる
✔ 集中力が増す
✔ イライラが減る
✔ 鼻づまりが改善する
✔ 口が閉じやすくなる
✔ 呼吸が深くなる
✔ 姿勢がまっすぐになる
✔ 歯並びの成長がスムーズになる
食生活の改善によって、まるで“その子本来の力を引き出した”かのように、表情や雰囲気まで変わることがあります。
7 家庭でできる小さな工夫:食生活による“予防矯正”の始め方

「何をどのくら減らせばいいの?」
「全部無くすのは難しい…」
というお母さんが多いのではないでしょうか。
“全部やめる”必要はありません!
大切なのは 量とタイミングのコントロール です。
✔ 砂糖は「朝」「寝る前」を避ける
血糖値の乱れが最も問題になる時間帯。
→ 朝:1日の集中力が落ちやすい
→ 夜:睡眠が浅くなり口呼吸が増える
✔ グルテンは「毎食続かないように」
パン → うどん → パスタ → クッキー
のように、小麦が重なるのを避けるだけでも負担が減る。
✔ 牛乳は“体質が合うか”を見極める
鼻水・鼻づまり・咳が続く子は特に注意。
✔ 代わりに増やしたい食品
・野菜
・果物
・発酵食品
・魚
・噛み応えのあるもの(するめ・ナッツ・根菜)
など、唾液が出る食材を意識する。
少しの変化でも、お子さんの呼吸と成長は着実に変わっていきます。
まとめ:食べ物は子どもの未来をつくる“最初の矯正”

歯並びは、歯けの問題ではありません。
✔ 食生活
✔ 呼吸
✔ 姿勢
✔ 睡眠
✔ 舌の位置
✔ 栄養
すべてが繋がって、ひとつの結果として現れます。
特に、
グルテン・カゼイン・砂糖は現代の子どもの「体のサイン」を乱しやすい食材 です。
少し意識してみるだけで、お子さんの
・鼻呼吸
・集中力
・睡眠
・姿勢
・歯並び
は確実に良い方向へ向かいます。
そして、それらは将来のワイヤー矯正を“予防する”大切なステップになります。
当院は、治療ではなく「予防」に特化した医院として、お子さんの“本来の成長の力”を最大限に引き出すサポートをしています。
