医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2025.11.10Newコラム

なぜ甘いものを食べたくなるのか?〜分子栄養学とお口の健康の関係〜

甘いおやつのイメージ

「どうしても甘いものがやめられない」「食後に何か甘いものが欲しくなる」
そんな経験はありませんか?


実はこの“甘いものを食べたくなる”という感覚は、単なる意志の問題ではなく、体の中の栄養バランスやホルモン、神経の働きと深く関係しています。
分子栄養学の観点から見ると、甘いものを欲するのは体からのサインとも言えるのです。

こんにちは。大阪市中央区心斎橋駅から徒歩1分の西村歯科心斎橋診療所(心斎橋インプラントセンター併設)、院長の秦と申します。

甘いもの(ショ糖を多く含む食べ物)はいつの時代も歯医者の天敵です。

砂糖は言わずも知れた虫歯になるリスクが高くなりますが、絶対食べてはいけないものではありません。

虫歯予防にはタイミングと頻度を考えれば、絶対食べてはいけないものではありません。

でも頻繁に甘いものを食べる、1日においても30分や1時間に何度もと摂取してしまう方もいらっしゃいます。

そので私たち歯科医療従事者は”甘いものは食べないでください”と指導することがよくあります。

でも”なぜ甘いものを食べたくなるのか?”を考えることはありませんでした。

しかし分子栄養学を勉強していくうちに、”なぜ、甘いものがやめれないのか?”がわかるようになりました。

そので今回のコラムでは甘いものがやめられない方に参考になればと思い書かせていただきました。

血糖値が上がるイメージ

1. 血糖値の乱高下が引き起こす「砂糖の誘惑」

私たちの体は、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)を一定に保つようにできています。
ところが、食事の内容がパンや白ご飯、スイーツなどの**高GI食品(血糖値を急上昇させる食品)**に偏ると、血糖値が急に上がり、その後インスリンが大量に分泌されて一気に下がります。

血糖値が下がると、脳は「エネルギーが足りない!」と勘違いし、すぐに血糖を上げようとして甘いものを欲します。
この状態がいわゆる低血糖反応です。

また、ストレスを感じると分泌されるホルモン(アドレナリンやコルチゾール)も血糖値を乱すため、仕事や人間関係などのストレスが多い人ほど、甘いものがやめられない傾向があります。

関係するホルモン:
インスリン:血糖値を下げる。過剰分泌で低血糖を招く。
アドレナリン・コルチゾール:血糖を上げようとするが、イライラや不安感も生じる。

つまり、「ストレスで甘いものが食べたい」というのは、血糖コントロールの乱れ+ストレスホルモンの作用によるものです。

余談ではありますが、イライラしてすぐキレる子どもたちも砂糖の取りすぎによる、血糖値の乱高下(血糖値スパイク)が起きているためとも考えられます。

2. 「脳が幸せを求める」セロトニン不足

セロトニンのイメージ

糖質を摂取すると、脳内でセロトニンという神経伝達物質が増え、気持ちが落ち着いたり幸福感が得られます。
そのため、ストレスや疲れを感じたときに甘いものが欲しくなるのは、脳が“セロトニンを増やして心を安定させよう”としているからです。

しかし、セロトニンを作るためには以下の栄養素が欠かせません:

・トリプトファン(タンパク質中の必須アミノ酸)
・ビタミンB6
・鉄
・マグネシウム
・ナイアシン

これらが不足していると、脳はセロトニンを作れず、代わりに“糖質で一時的にごまかす”ようになります。
その結果、「甘いものがないと落ち着かない」という状態に陥ってしまうのです。

特に日本人女性は慢性的に”鉄”不足があります。

もし甘いの物がやめられない方は鉄分を多く含む食品や栄養士さんと相談してサプリメントで補うことも必要かなと思います。

3. 副腎の疲労(アドレナル ファティーグ)とエネルギー不足

慢性的なストレス、睡眠不足、過労が続くと、**副腎(ホルモンを作る臓器)**が疲れてしまいます。
副腎が弱ると、血糖値を一定に保つためのホルモン「コルチゾール」がうまく分泌されなくなり、低血糖が起きやすくなります。

このような状態では、体が「糖をすぐにエネルギーに変えたい」と感じ、即効性のある糖質=甘いものを求めるようになります。
午後や夕方になると急に甘いものが食べたくなる方は、副腎疲労が隠れているかもしれません。

慢性的に疲れが取れない人も副腎疲労が考えられます。

4. 腸内環境が「甘いもの」を欲している?

腸内環境も甘味欲求と深い関係があります。
腸には100兆個以上の細菌が住んでおり、その中には糖を好む菌(たとえばカンジダ菌など)もいます。
この糖を好む菌が増えると、腸から脳へ「糖を食べたい」という信号を送ることがわかっています。

つまり、甘いものを食べたくなるのは“自分の意志”ではなく、“腸内細菌の要求”のこともあるのです。
腸内環境を整えることが、実は甘いもの依存を改善する大切な第一歩になります。

5. 栄養素不足が甘味欲求を強める

分子栄養学的には、次の栄養素が不足すると、血糖や神経のコントロールが不安定になり、糖質を求めやすくなります。

栄養素不足による影響
クロムインスリンの働きが弱まり、血糖変動が大きくなる
マグネシウムストレス耐性が下がり、神経が過敏になる
亜鉛味覚異常・インスリン分泌低下
タンパク質神経伝達物質の材料不足で情緒不安定
ビタミンB群糖質をエネルギーに変えられず、エネルギー不足感

これらの栄養素をしっかり摂ることで、自然と甘いものへの依存は弱まっていきます。

6. 甘いものとお口の健康の関係

甘いものを頻繁に摂ると、当然ながらむし歯のリスクも高まります。
糖質はプラーク中の細菌にとって最高の栄養源です。
細菌が糖を分解する過程で酸を出し、歯の表面を溶かしてむし歯を作ります。

頻繁に糖を摂取する人は、酸を産生する菌が口の中に増えて”むし歯になりやすい”お口の中になってしまいます。

詳しくはコラムの”虫歯の削らない治療”を参考になさってください。

また、糖の摂りすぎは血糖値を乱すことで炎症体質を招き、歯ぐきの腫れや出血、歯周病の悪化にもつながります。
つまり、「甘いものをやめたいけどやめられない」という状態は、体の中とお口の中、両方の炎症を悪化させる可能性があるのです。

7. 甘いものの欲求を抑えるためにできること

3大栄養素

たんぱく質をしっかり摂る(1日体重×1〜1.5g以上)
 → セロトニンの材料となり、満足感が得られやすくなります。
・ナッツ・チーズ・卵などの間食で血糖を安定化
・発酵食品や野菜で腸内環境を整える。
 便が出ない人は水溶性食物繊維(イヌリン)などを摂るといいと言われています。
 野菜に含まれている食物繊維は腸内細菌のエサになり、善玉菌が増えて腸内環境も良くなります。
・マグネシウムやヘム鉄、ビタミンB群を意識的に摂る。
・ストレスを溜めず、十分な睡眠を取る。

睡眠の質は起きている間の仕事の効率性などのパフォーマンスや健康に非常に重要なポイントです。

入眠後の最初の90分をいかに質が良い睡眠時間が取れるかが睡眠の深さに関係します。中途覚醒する人は日中の血糖コントロールや、夜のお酒が原因かも知れません。

これらの生活習慣を整えることで、自然と甘いものへの衝動は和らぎ、心も体も安定していきます。

まとめ

甘いものを食べたくなるのは、「意志が弱いから」ではありません。
血糖値、ホルモン、脳内伝達物質、腸内環境、栄養バランスなど、分子レベルの不均衡が原因です。

そして、この糖質依存は、お口の健康にも大きく影響します。
むし歯や歯周病の予防のためにも、食生活と体のバランスを整えることが大切です。

実際、私自身も甘いもの、特に清涼飲料水、ジュースなどが大好きでした。

大人になれば缶チューハイなど甘いお酒を飲んでおりました。

でも食事を見直して甘いものを甘い飲み物を摂らないようにすると、甘いものを食べたいという衝動は無くなります。

今や以前に飲んでいた清涼飲料水や缶酎ハイなどは甘すぎて飲めません。

三日坊主の私ができるくらいですから、このコラムを読まれている方もできます。

当院では、栄養や生活習慣を含めた総合的な視点で、むし歯予防だけでなく健康な口腔環境をサポートしています。
甘いものを減らしたいけれど難しい…という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

ご予約はこちらから▶️https://planetdentale.com/reserve/about.php?web_code=4bafff33a131c05847acb798fd98e09513b212d598a35dd7880cf9d930dd0b62


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