医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2024.08.01コラム

インプラント治療をしない方がいい人はどんな人?

インプラント体の画像

インプラント治療の高い成功率

インプラン治療の成功率は97%以上と高い確率です。
根管治療の成功率が60〜90%に対し、インプラント治療は非常に高い成功率だと思います。

インプラント治療の歴史

近代インプラントの父、ブローネマルク博士が人に初めてインプラント治療をしたのが、博士の友人のヨスタ・ラーソンさんでした。
ラーソンさんはお亡くなりになるまで41年間、問題なくインプラントを使用することができたそうです。

天然歯とインプラントの比較

勘違いしてはいけないのが、天然歯(ご自身の歯)よりインプラントが優れているということではありません。
歯科医療の歴史ではそのように勘違いされ、安易に抜歯しインプラント治療をする時代がありました。
天然歯は適切な予防メンテナンスをするとインプラントより長くもちます。
コラム ”予防メンテナンスがもたらすメリット”を参照

予防メンテナンスがもたらすメリット

しかしインプラント治療も適切に処置すると長くお口の中で機能いたします。

インプラント治療を選択しない方がいい患者さん

そんなインプラント治療ですが、治療の選択肢としてあったとしてもインプラント治療をしない方がいい人もいらっしゃいます。
今回のコラムでは”インプラント治療を選択しない方がいい患者さん”はどのような症例か述べたいと思います。

  • 1、歯周病治療を希望されない患者さん
  • 2、コントロールされていない糖尿病の患者さん
  • 3、骨粗鬆症のお薬、注射を長期に服用されている方
  • 4、定期的なメンテナンスを受診されない方

1. 歯周病治療を希望されない患者さん

インプラント治療で最も多い問題がインプラント周囲炎です。
インプラント周囲炎は歯周病と同じように、骨が吸収し無くなってしまいます。
インプラント体を支える骨がなくなるとインプラント体は脱落(取れます)します。
歯周病の治療がされていないケースはインプラント周囲炎になる確率は高くなります。
インプラント治療する前に歯周病治療は必ず必要な治療です。
もし歯周治療を受けずにインプラント治療をしたいと思われるなら、やめた方がいいと思います。
数年は問題ないと思いますが、長期にインプラントが持たないと思います。

歯周治療の内容

  1. 歯周組織検査
  2. レントゲン撮影
  3. 歯科衛生士による口腔衛生指導(OHI:Oral Hygiene Instruction):ブラッシング指導や生活習慣、食事指導など
  4. 歯科衛生士による口腔衛生指導

  5. 歯石の除去
  6. 必要があれば歯周外科、歯周再生療法

インプラント治療を受ける前にお口の中を清潔にする習慣を定着させることが長期にインプラントを使用できるようになります。

2. コントロールされていない糖尿病の患者さん

糖尿病の患者さんは傷が治りにくいのと感染しやすい特徴があります。
そのため糖尿病患者さんがインプラント手術を受けるためにはHbA1cを6.9以下にすることが好ましいと言われています。
また外科処置に関してだけではなく、糖尿病と歯周病は相関すると言われています。
糖尿病の人は歯周病になりやすいですし、血糖値コントロールがされていないと歯周病が悪化すると報告されています。
歯周病が悪化するとインプラント周囲炎も発症する可能性があります。

よく噛めないことと肥満の関係

歯が少なくてよく噛めない人にとって、よく噛めるようになることは健康に対して非常に重要なことです。
よく噛めない人は痩せていると思いますか?
意外と噛めていない人が太っていることがあります。
なぜなんでしょうか?

  1. 噛めないから柔らかい食品を食べるようになる。

    柔らかい食品には炭水化物が比較的多いです。

    柔らかい食品

    炭水化物は3大栄養素で非常に重要な栄養素で糖質と食物繊維が合わさったものですが、小麦、糖類を多く含む食品が多く存在します。

    糖類は血糖値を上昇しやすくなり、小麦もアミロペクチンを多く含むため血糖値が上がりやすくなります。
    血糖値の急上昇は太りやすくなります。

  2. 噛めないから早食いになる。

    咀嚼をあまりせず早く飲み込むことで血糖値が上がりやすくなる。

以上のことから歯が無くて噛めない人こそ、しっかり噛めるインプラント治療を選択して欲しいと私は考えています。
当院には大阪糖尿病療養士である歯科衛生士が在籍しています。
歯周治療だけではなく糖尿病のコントロールのお手伝いをいたします。

3. 骨粗鬆症のお薬、注射を長期に服用されている方

骨粗鬆症の治療薬であるビスフォスフォネート剤などで薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)が報告されています。
本国のMRONJの発生率を調べた研究があり、2015年4月から2018年12月までに新たに服用された骨粗鬆症の患者さん2,664,104人中1,603人(0.06%)に薬剤関連顎骨壊死が起きたと報告されています。発生率は10万人あたり22.9人でした。
Ishimaru M, Ono S, et al : Prevalence, Incidence Rate, and Risk Factors of Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw in Patients With Osteoporosis and
Cancer: A Nationwide Population-Based Study in Japan. J Oral Maxillofac Surg 80: 714-727, 2022.から参照
薬剤関連顎骨壊死の予防として口腔内を清潔にすることが推奨されています。
顎骨壊死の報告がない時代にインプラント手術を受けられた患者さんも西村歯科では多くいらっしゃいましたが、顎骨壊死が起きた事例は確認できていません。
薬剤性顎骨壊死は抜歯後に起きることもありますが、当院ではインプラント周囲炎から薬剤性顎骨壊死が起きたケースを経験いたしました。
軽度のインプラント周囲炎があり数年問題なく腫れたり痛みも出ることなかったのですが、メンテナンスが途絶えて、お久しぶりに来院されて時にインプラント周囲に顎骨壊死様の所見が確認できました。
お話をお聞きすると骨粗鬆症のお薬を服用始められていたり、低容量な薬剤から高容量の薬剤に変更されていました。

骨粗鬆症の予防

骨密度の低下は閉経した女性のエストロゲン不足により起きます。
骨粗鬆症の予防としてはビタミンDの摂取が有効です。
もちろん不足分はサプリなどで補いますが、本来ビタミンDは日光を浴びると身体で生成されるビタミンです。
骨は”力”がかからないと弱くなります。
一日20分、日光を浴びながら歩くことが骨粗鬆症の予防の一助になるかもしれません。

運動している女性

4. 定期的なメンテナンスを受診されない方

インプラントは自分の歯と比べて痛みや腫れなどの症状が出にくいのが特徴です。
インプラント周囲炎になっていても痛みも無く進むことがあります。
そのため定期的なメンテナンスを受診することをお勧めしております。
詳しくはコラム”インプラントメンテナンスについて”をご参考にしてください。
https://licca-implant-center.com/implant-maintenance/
インプラント治療は適切にすると長く使用することができます。
その長く使用している期間中に他の歯にトラブルが起きる可能性もありますし、治療をすると噛み合わせも変わることがあります。
前述しましたように糖尿病に罹患する方や、骨粗鬆症になりお薬を服用することもあります。
定期的なメンテナンスを受けていると大きな問題になる前に対応でき、インプラントを健康な状態を長く維持することができます。

西村歯科 心斎橋診療所の取り組み

当院は創業時からたくさんの方にインプラント治療をいたしました。
私自身もインプラント治療に携わることになり20年以上が経ちました。
私がインプラント手術を始めて担当したケースも20年問題なく使用されています。
しかし20年間、全てのインプラント治療が成功した訳ではありません。
“97%の成功率”というと非常に高い成功率と思います。
逆に申しますと”3%”は失敗するとも言えます。
医療は100%ではないので致し方ないことかもしれません。
でもその”3%”になった患者さんにとっては”100%”の失敗です。
そのことを私たちは忘れないでおこうと日々診療をしております。

スタッフの写真

当院ではインプラント治療だけではなく、虫歯治療、歯周外科治療、審美治療、精密根管治療、マウスピース矯正などほとんどの治療を院長の私が担当いたします。
予防メンテナンス、インプラントメンテナンス、歯周初期治療、ホワイトニングなどは歯科衛生士が担当します。
治療費、治療スケジュールの管理、患者さんのご要望内容はトリートメントコーディナーターが担当します。
受付は患者さんの機微を全員に共有してくれています。
いつでも私たち”西村歯科 心斎橋診療所”はお一人お一人の患者さんと向き合い大切にします。
その想いから、患者さんの長い人生の健康を考えてインプラント治療が適していると思わなければ、インプラントではない治療をご提案させていただくこともございます。


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