2025.07.09Newコラム
歯科検診を受けないリスク

目次
痛みがないのに歯医者に行く意味って?
「痛みもないのに行くのは時間のムダ」と思う気持ちもよくわかります。でも、むし歯や歯周病は初期段階ではほとんど痛みを感じません。特に歯周病は“サイレントディジーズ(静かなる病気)”と呼ばれるほど、気づかないうちに進行する病気です。
つまり、「痛くない=健康」とは限らないということ。定期的にチェックすることで、病気の“芽”を早期に見つけて、最小限の治療で済ませることができます。これは結果的に、時間もお金も節約することにつながります。
本日は、医療法人西村歯科心斎橋診療所で勤務しております。歯科衛生士の叶より定期歯科検診についての内容をご紹介させていただきます。
行かないとどうなる?定期検診を受けないリスク

気づかないうちに進行するむし歯・歯周病
歯の病気は、静かにじわじわ進んでいくのが特徴です。特に歯周病は、「気づいたときには重症」ということが珍しくありません。自覚症状が出る頃には、歯を支えている骨がかなり減ってしまっている、、なんていうこともあります。
むし歯も同じです。小さなうちは簡単に治せるのに、気づかず放置すると神経にまで達し、痛みがひどくなるだけでなく、治療も大がかりになってしまうことがあり、定期検診を怠ることで、知らないうちに「取り返しがつかない状態」になってしまうんです。
治療費や通院回数が増える?

初期段階であれば、むし歯の治療は数千円で済みます。しかし、神経の治療や被せ物が必要になると、費用は一気に数万円〜数十万円程かかる場合もあります。
そして、最も避けたいのが、歯の喪失です。歯を1本失うことで、咬み合わせや顎のバランスが崩れ、他の歯にも悪影響が出てきます。さらに、見た目や発音にも支障が出るため、日常生活の質が大きく下がってしまいます。
そして、喪失した歯の代わりにインプラントや入れ歯になると高額な治療費が必要になってくる場合もあり、通院回数も1回では終わらず、何度も歯医者に通う手間が増えます。仕事や家事、育児で忙しい人ほど、定期検診でトラブルを未然に防ぐ方が、結果的に治療費や通院回数を減らすことに繋がります。
定期検診の頻度ってどれくらい?

定期検診は、基本的には「3ヶ月~6ヶ月に1回」が理想とされています。日本歯科医師会や多くの歯科医院でもこの頻度を推奨しています。なぜなら、むし歯や歯周病のリスクをコントロールしやすいのが、この間隔だからです。
特に歯石やプラーク(歯垢)は、数ヶ月放っておくと硬くなってセルフケアでは除去できなくなってしまい、歯周ポケットも炎症を繰り返すと徐々に深くなっていきます。3ヶ月~6ヶ月のスパンでケアすれば、その悪循環を断ち切ることができます。
「忙しくてなかなか行けない…」という方でも、最低でも年に1回は歯科検診を受けることをおすすめします。それだけでも口腔内の健康状態は大きく変わりますよ。
一人ひとりに合った通院スケジュールとは
実は、すべての人に「3ヶ月に1回がベスト!」とは限りません。患者さんの年齢、むし歯や歯周病のリスク、生活習慣やセルフケアの質などによって、最適な通院頻度は違います。
たとえば、歯周病が進行している人や糖尿病などの全身疾患を持っている人は、1ヶ月~2ヶ月に1回のメンテナンスが必要な場合もあります。一方で、しっかり歯磨きができていてリスクが低い人であれば、半年に1回でもOKです。
私たち歯科衛生士は、検査結果や生活状況をもとに、あなたにぴったりの検診スケジュールを提案します。「自分に合ったペースで通える」というのも、定期検診を無理なく続けるコツのひとつです。
歯科衛生士が語る!よくある患者さんの勘違いと本音

「痛みがなければ大丈夫」は本当?
「痛くないから行かなくても平気でしょ?」とおっしゃる患者さんは本当に多いです。でも、これは大きな誤解です。むし歯も歯周病も、痛みを感じる頃にはかなり進行しているケースがほとんどなんです。
特に歯周病は、重症になるまで自覚症状がないため、「歯がグラグラする」「噛めない」といった症状が出た時には、もう抜歯せざるを得ないことも…。だからこそ、「痛くなくても行く」ことが大切なんです。
逆に、痛みが出る前に発見できれば、最小限の処置で済むことがほとんどです。患者さんの負担も少なく、結果的に「行ってよかった」と言われることが多いですよ。
「歯医者は怖いから行きたくない」気持ちに寄り添って
「歯医者って怖い…」「昔痛い思いをしたから苦手…」という声もよく聞きます。私たち歯科衛生士も、その気持ちはとても理解できます。しかし、今の歯科医療はとても進化しており、痛みの少ない治療や、リラックスできる空間づくり、やさしく丁寧な説明など、昔のイメージとはだいぶ違っています。
「怖くて行けない」と思っている方こそ、まずは定期検診から始めてみてください。治療ではなく“チェック”が目的なので、痛みはほとんどありません。口の中を見せて、話すだけでもいいんです。
私たち歯科衛生士は、患者さんの不安や恐怖を少しでも和らげるために、丁寧な声かけや説明を心がけています。一人で悩まず、まずは気軽に相談してみてくださいね。
定期検診でわかる!自分の“お口のクセ”とは?

磨き残しの傾向や歯並びの影響もチェックできる
定期検診では、むし歯や歯周病のチェックに加えて、患者さんそれぞれの「磨きグセ」も把握することができます。毎日歯磨きをしていても、どうしても磨きやすい場所と磨きにくい場所がみなさんあります。
例えば、利き手によって歯ブラシが届きにくい場所ができたり、歯並びが悪い部分にプラークがたまりやすくなったり…。こうした“個人差”は、プロの目でしかわからない部分です。定期的にチェックすることで、「ここをもっと意識して磨いてね」といった具体的なアドバイスが可能になります。
また、噛み合わせや歯ぎしり、食いしばりなどのクセも、お口の中の状態から読み取ることができます。自分では気づかない癖が、実は歯や顎に大きなダメージを与えていることもあります。
パーソナルケアでセルフケアの質がアップ!
定期検診では、歯科衛生士がその人に合った歯ブラシの選び方や使い方、フロスや歯間ブラシの使い方などを丁寧に指導します。たとえば、「前歯の裏側に歯石がつきやすい人」には、歯間ブラシよりも歯を1本1本磨くことのできるタフトブラシをすすめたり、「奥歯にプラークがたまりやすい人」や「歯列不正があって歯ブラシが難しい人」には電動歯ブラシを提案したり。
こうしたパーソナルケアの提案は、ネットやテレビでは得られない“あなた専用”のアドバイスです。これを受けるだけでも、セルフケアの質は格段に向上します。歯磨きの効率も上がり、結果的にむし歯や歯周病の予防につながります。
シニア世代にも欠かせない定期検診の重要性

シニア世代になると、入れ歯やブリッジ、インプラントなどを使用している方が増えてきます。これらの補綴物は、天然歯と同じように丁寧なメンテナンスが必要です。
特に入れ歯は、適合が悪くなると口内炎や顎の骨の変形を引き起こすことがあります。また、インプラントも、歯周病のような「インプラント周囲炎」にかかる可能性があるため、定期的なチェックが不可欠です。
歯科衛生士による専用のクリーニングとチェックを受けることで、長く快適に使用することができます。
「噛める」ことは健康寿命を延ばす!

お口の健康は、全身の健康と深くつながっています。しっかり噛んで味わうことができる幸せは、ただの栄養摂取にとどまらず、心の満足や社会とのつながりにも影響を与えます。高齢になっても、自分の歯や機能を保ち、美味しく食べ、会話を楽しみ、生き生きとした毎日を送るためには、若いうちからの継続的なお口のケアがとても大切です。
「歳を重ねても自分の口で食べられること」は、健康寿命を支える大きな柱です。そのためには、歯科医院での定期的なメンテナンスと、日々のセルフケアの両方が欠かせません。口腔内の小さな変化に早く気づき、早く対処することが、将来の大きな健康リスクを防ぐ第一歩となります。
私たち歯科医療の専門家は、患者さま一人ひとりの人生がより豊かで自立したものであるよう、全力でサポートいたします。今日の一歩が、未来の笑顔を守る力になることを願って。
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