2025.01.01コラム
セカンドオピニオンで来院される患者さん
新年あけましておめでとうございます。
謹んで新春をお祝い申し上げます。
西村歯科心斎橋診療所、院長の秦です。
今年も西村歯科心斎橋診療所では”患者さんの健康を守る。”と言う理念のもと”皆さまの健康を始める。”お手伝いをいたします。
昨年度の当院は”いつも通り”の歯科医院でした。
どういう意味かと申しますと、お陰さまでここ数年スタッフの入れ替えもなく(産休に入ったり、産休明けのスタッフがいますが)過ごせました。
以前のコラムでも書いていますが、当院は高い治療技術、予防の知識、患者さまが快適に過ごせますような環境などを持ち合わせていますが、一番の”売り”はスタッフでございます。
そんなスタッフが一人も欠けることなく過ごせたことを嬉しく思います。新年もスタッフ一同、一丸となり頑張っていく所存でございます。
さて、新年最初のコラムです。
セカンドオピニオンで来院される患者さん PART 1
セカンドオピニオンとは、患者が治療や検査を受けるにあたって現在の主治医だけではなく複数の医師や専門家に相談し意見を求めより良い方法を患者自身が決めるために行う行為を言います。
西村歯科心斎橋診療所はインプラントを中心とした治療の実績は多く、歴史も長いのもあり他の歯科医院で治療を考えている患者さんや、現在治療中で治療がうまくいっていない患者さんがセカンドオピニオンとして来院されることがよくあります。
ご相談でいらした際、当院の理念として”患者さんの健康を守る”という考えがありますが、決して前医の批判は致しません。
その理由はほとんどの歯科医師は患者さんのお口の状態が良くなるように治療を心がけています。
ただ、その歯科医院に様々な状態に対応できるような医療技術と知識、治療するための機器が無ければ患者さんの期待するような結果が出ずに、”うまくいっていない”状態になることはあります。
今回のコラムでは当院にセカンドオピニオンに来院された患者さんが、どのようなキッカケで来院されることがあったのかを記したいと思います。
ケース1、20代の患者さんで歯周病で歯周治療を受けたけど治らないので不安。
下の奥歯が虫歯の治療後に痛くなり歯科医院にいったところ、歯周病と診断され歯周病を治療するために麻酔をして歯周治療をを受けたのですが治らないと来院されました。
確かにレントゲンでは右から2番目(レントゲン画像から見て)の奥歯の歯の周りに骨がなくなっているような画像を診ることができます。
確かに歯周病と診断してしまうことはわかります。
しかし、年齢と1本だけの歯に歯周病が起きていることに疑問を持ちます。
歯周病はすべての人に起きうる炎症ではありますが、一般的には40歳代以上の人に起きやすいと言われています。
また、歯周病は1本だけの歯に起きることは少なく、お口全体的に起きることが一般的です。
もちろん若い年齢で特定の歯に破壊的に進む歯周病はありますが。
歯周ポケットを測定しても歯周ポケットは存在しますので歯周病を疑います。
実はこのようなレントゲン画像は歯の神経が失活(活動を失って歯の神経が死んでいる状態)していてもこのような画像に映ります。
まるで歯周病のように歯周ポケットが形成されることもあります。
いわゆる”エンドペリオ病変”と言われ歯根の病変(根尖性歯周炎)と歯周病が同時に起きている状態です。
でも”虫歯の治療をした後”とおっしゃることが診断のkeyとなりました。
前医は虫歯の治療をしっかりと治療していることが想像できます。詰め物と歯の間には隙間もなく、しっかり治療がされています。
しかし治療した痕跡が歯の神経に非常に近いことも確認できます。虫歯が大きくて神経に近い場合は適切な治療をしないとうまくいきません。
詳しくはコラム”歯の神経をとらないといけない!と診断を受けたら”をご覧ください。
ではこの歯はどうなったのでしょうか?
8年後のレントゲンです。
歯の周りの骨は回復しています。
歯周病と思われていた歯でしたが原因は根尖性歯周炎でした。
適切な診断と処置をすることは歯を保存することに非常に重要なことです。
幸いなことに歯周治療をされていましたが、もし歯周病が原因だと言う診断に固執してしまいますと次にとる処置は歯周外科処置になります。
もし歯周外科処置をした後に原因が根尖性歯周炎であったと気づき根管治療をしていたとしたら、このような結果ではなく、なくなった骨は回復しない状態であったであろうと思います。
では根尖性歯周炎と診断がなされていて、根管治療をしていると必ず治るのかと言えば難しいことかもしれません。
実は根管治療は非常に技術の差がありますので適切な知識と技術、設備が無ければ治療の結果が違うこともございます。
根管(歯の根っこ)の形は人によって、歯の種類によっても違い、難しさも違います。
歯根が曲がっていることを認識して確認し(歯科用CTの撮影)、歯根を多く削らないように曲がった根管を清掃する器具(ニッケルチタンファイル)を使用することで歯を長く保存することができます。
肉眼では見えない細い根管もマイクロ顕微鏡があると根管治療の成功率を上げることができます。
この症例に関しては根管治療は1回で終了しています。
根管治療だけに多くの回数をかける事はなんの意味もなしません。
根管治療の消毒薬を何回も交換するより、1回の治療時間を長くとり根管の中を綺麗に、洗浄し封鎖することが大切です。
根管治療に何ヶ月もかかっている、治療後の仮封材(仮のフタ)が何回も外れる人は歯の状態が悪くなっているかも知れません。
ケース2、インプラント治療で数年通っているが噛めない。
インプラント治療に長く従事している私としてはこのような方を拝見しますと胸が痛みます。
インプラント治療(骨結合するインプラント)を発明されましたブローネマルク先生は医者(整形外科医でも在られましたので整形外科領域でもチタン性インプラントは多くの人の助けになっております)でありながら骨と結合するインプラント治療は食事ができない人たちの助けになると考えられ口腔内で応用することを優先されたと言われております。
このケースはインプラントを埋入する位置も確かによくはありませんが、上部冠(インプラントに装着する被せ物)に問題があるケースです。
ブローネマルク先生が”人類のため”と考えられていたことが悪い方向に捉えられ”インプラント治療が良くない治療”と思われることは本当に悲しいことです。
現に患者さんはインプラントはもうしたくないとおっしゃってました。
インプラントの本数がある程度あるのに噛めないのは、噛み合わせに問題があることがほとんどです。
噛み合わせといっても歯と歯が触れ合う形だけでなく、舌や頬が歯に触れる形も噛み合わせに関係しています。
この上部冠(仮の歯)は削っていたり、盛り足していたりと”ツギハギ”だらけで統一性、一貫性がありません。
まるで前医の治療の縄みが表れている状態のようにも感じます。
患者さんの希望は自分の歯を残すことでもありましたが、歯周治療や歯ブラシ指導も受けておられないのが現状でした。
現状と改善策をご説明させていただき、ご理解をいただいた上で治療を進めます。
西村歯科心斎橋診療所ではこのご説明する時間を最も重要視し、大切な時間としています。
1日目に簡単な型取りをして次の写真が2回目に来院されて仮の歯を装着した状態です。
簡単な仮の歯ではありますが、噛み合わせの基本をよく理解している技工士だから実現できる治療法です。
こちらの患者さんは長年噛めないと悩んでいたことがたった2日の来院で解決することができました。
問題は複雑に思えますが俯瞰してみると意外と解決策はシンプルであることに気づかされます。
もし前医の先生にそんな基本的な知識があれば、患者さんが長く苦しむこともなかったのかなと思います。
治療結果は残念ながら天然歯の状態は保存できない状態にまでなっていましたので抜歯となり、インプラント治療はもうしたくないとおっしゃってましたが、どうしても長期に安定した状態を作るにはインプラント治療の必要性をご説明させていただき、ご同意の上、治療を進めました。
このような時も必ず説明の時間をしっかりとらせていただき、トリートメントコーディネーターも同席しお話いたします。
繰り返すようですが、その時間を私たちは大切にしています。
トリートメントコーディネーターはどのような役割を担っているのかはコラムの”トリートメントコーディネーター(TC)とは?”をぜひお読みください。
治療終了後が次の写真になります。
すでに埋入されているインプラントがありますので上部冠を作成した技工士は苦労したと思いますが、患者さんが十分に満足いただける治療ができました。
治療後9年が経過していますが現在も問題なく使用していただいています。
今回ご提示いたしました症例はなんとか難症例になる前にセカンドオピニオンで来院され治療した方になります。
実際に難症例になりもう歯を保存できなくなってしまった方や、噛み合わせの原因が複雑になりすぎて改善できなくなっていまっている方もいらっしゃいます。
歯科医師としては全力で治療していても、その医院の環境では上手くいかない場合もあります。
セカンドオピニオンを受診することは決して悪いことではありません。
ただ、いろんな歯医者で試してみるような”ドクターショッピング”は決してするべきではありません。
自ら自分の状態を悪化させていまします。
西村歯科心斎橋診療所ではセカンドオピニオンを承ります。
ご予約はお電話でも下記のWeb予約も可能です。
費用は
のセカンドオピニオンの欄をご覧ください。