医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2025.09.10Newコラム

妊婦さんが気をつけたい歯周病 〜赤ちゃんへの影響は?予防歯科で守る母子の健康〜

妊娠中の女性

「妊娠中も歯医者さんに行ってもいいんですか?」

そんなご質問を当院ではよくいただきます。

実は妊娠中の口腔ケアはとても大切!

ホルモンバランスの変化によって歯茎が敏感になったり、歯周病が進行しやすくなったりするため、妊婦さんの身体だけでなくお腹の赤ちゃんにも影響を及ぼす可能性があるのです。

今回のコラムでは歯科衛生士の立場から「妊娠中の歯周病のリスク」や「赤ちゃんへの影響」そして「予防歯科の大切さ」についてわかりやすくお伝えします。ぜひ妊娠中の歯の健康に不安を感じている方は、参考にしてください。

1 妊娠中に歯科ケアが重要な理由

歯科検診を受ける妊娠中の女性

1−1 ホルモンバランスの変化と歯茎への影響

妊娠中の女性の身体には大きな変化が訪れます。その中でも特に注目すべきなのが「ホルモンバランスの変化」です。

妊娠すると女性ホルモンの一つでもある「エストロゲン」や「プロゲステロン」の分泌が増加し、これが歯茎の血流や炎症反応に影響を与えるのです。

実際、妊婦さんの多くが「歯茎が腫れてきた」「歯磨きをすると血が出る」といったトラブルを経験しています。

これが歯茎が炎症を起こしている状態(=妊娠性歯肉炎の症状)です。

お口にの中の細菌に対する免疫力が低下するため、少しのプラーク(歯垢)でも歯茎が炎症を起こしやすくなってしまうのです。

妊娠中の歯茎はデリケートな状態で放っておくと歯周病に進行するリスクもあるため妊娠中も定期的なメンテナンスと丁寧なセルフケアが欠かせません。

1−2 妊娠性歯肉炎とは?症状と原因について

妊娠中の約6割〜7割の女性が経験するといわれているのが「妊娠性歯肉炎」です。

この歯肉炎は妊娠初期から中期にかけて起こりやすく、歯磨きの際の出血や歯茎の赤み・腫れが主な症状です。

原因は女性ホルモンの増加により、特定の歯周病菌(プレボテラ・インターメディアなど)が繁殖しやすくなるからです。

妊娠中はホルモンの変動により身体を守る力のバランスも変わるため、通常の歯肉炎より炎症が酷くなることもあります。

妊娠してから歯茎のトラブルが増えた…という方は、妊娠性歯肉炎を引き起こしているかもしれません。さらなるトラブルを引き起こす前に早めの対策が重要です。

2 妊婦さんと歯周病の関係

妊婦と歯周病の関係

2−1 妊婦さんは歯周病になりやすい?

妊婦さんの身体は、ホルモンバランスだけでなく免疫力や自律神経のバランスも大きく変化します。

これにより、お口の中の細菌バランスも乱れやすくなり、結果として歯周病が進行しやすくなります。

特に妊娠中は「悪阻」によって歯磨きが不十分になりやすく、間食も増える傾向にあるため、プラークが溜まりやすい状態にあります。こうした環境は歯周病菌にとって絶好の繁殖しやすい状態です。まさに妊婦さんは歯周病になりやすい状態にあると言えるのです。

3 歯周病が赤ちゃんに与える影響

赤ちゃんの足

3−1 早産や低体重児出産のリスクとは

歯周病は妊婦さんだけでなく、赤ちゃんにも深刻な影響を与える可能性があることを知っていますか?

特に問題となるのが「早産」や「低体重児の出産」へのリスクです。

歯周病によって体内に慢性的な炎症が起こると、その影響で「プロスタグランジン」や「炎症性サイトカイン」とう物質が分泌されます。

これらは本来、出産を誘発する働きを持つホルモンなのですが、必要以上に分泌されることで子宮の収縮が早まってしまい、結果として早産や未熟児出産に繋がる可能性があるのです。

だからこそ、妊娠中はお腹の赤ちゃんを守るためににも、お口のケアをしっかりと行うことがとても重要になります。

「お口の健康=全身の健康=赤ちゃんの健康」に繋がるという意識を持つことが重要です。

4 妊娠中にできる歯周病予防のポイント

妊娠初期から後期までの身体の変化

4−1 妊娠初期・中期・後期ごとにケア方法

妊娠期間は大きく3つの時期(初期・中期・後期)に分けられ、それぞれ体の状態が大きく異なります。そのため、お口のケアもそれぞれの時期に合わせた対策が必要です。

①妊娠初期(〜15週頃)

この時期は悪阻が最も辛く、歯ブラシを口に入れるだけで気持ち悪くなる事もあるため無理をせず、できる範囲でケアを行いましょう。柔らかめの歯ブラシやヘッドの小さい歯ブラシを使ったり、歯磨き粉を使わずに磨く方法もオススメです。

②妊娠中期(16週〜27週)

安定期に入り、体調が落ち着いてくるタイミングです。

歯科での予防ケアやクリーニングを受けるのに最適な時期です。歯茎の腫れや出血が気になる方はこのタイミングで歯医者さんで相談を!

③妊娠後期(28週〜出産前)

お腹が大きくなり、診療室のチェアーに長時間座るのが辛くなる時期。無理のない範囲で日頃のセルフケアを続けましょう。

それぞれの時期に応じたアドバイスを受けながら、無理なく継続することが、妊娠中のお口の健康を守るポイントです。

4−2 悪阻中のセルフケアの工夫とポイント

悪阻中のケアについて考える女性

「悪阻が酷くて歯磨きどころじゃない…」

そんな声をよく聞きます。

実際、妊娠初期はニオイに敏感になったり、歯ブラシを口に入れるだけで吐き気をもよおす方も多いです。

ですが、ここでお口のケアを疎かにしてしまうと、細菌が繁殖しやすくなり、妊娠性歯肉炎や歯周病が一気に進行してしまいます。

そこでおすすめしたいのが以下のポイントです。

・歯ブラシのヘッドを小さいものに避ける
・ミント系の歯磨き粉を避けて、無香料タイプにする
・食後すぐではなく、少し時間をおいてから歯磨きをする
・どうしても無理な日は、デンタルリンスでのうがいだけでもok

大切なのは「完璧を目指さないこと」

無理なく続けられる方法を見つけて、毎日のケアをできる範囲でコツコツ積み重ねることが大切です。

5 予防歯科が妊婦さんにとって重要な理由

お腹をさする女性

5−1 治療ではなく「予防」が母子を守る時代へ

かつて歯科といえば「痛くなったら行くところ」というイメージが強かったかもしれません。でも今は「痛くなる前に守る」時代です。

特に妊娠中は治療が制限される事もあるため、事前の予防こそが最大の防御策になるのです。

予防歯科では、歯周病や虫歯の進行を未然に防ぐことができ、万が一トラブルが起きても最小限で抑えられます。さらに定期的なプロによるクリーニングでは、セルフケアでは取りきれない汚れを取り除き、口腔内の環境を整えてくれます。

5−2 定期的なメンテナンスの大切さと効果

「最近ちゃんと歯磨きできてないかも…」

「歯茎がちょっとムズムズするけど大丈夫かな…」

そんな時こそメンテナンスに行くタイミングかもしれません。

妊娠中はホルモンの影響でお口の状態が変わりやすいため、自分では「変化のサイン」に気づきにくいです。

そのため定期的なメンテナンスに行って「変化のサイン」を早い段階で見つけてもらうことが大切です。

「悪阻で歯ブラシを口に入れるのがしんどい…」

そんな時は、無理せずプロに頼って大丈夫です。

歯医者=治療するところ、と思われがちですが、

‘‘できないところをサポートしてもらう場所’’くらいの気軽な気持ちでお越しください。

一緒にお口の健康を守っていきましょう!

6 妊娠中におすすめの歯科の選び方

妊婦にオススメの歯科を伝える女性

6−1 アクセスの良さと通いやすさは重要なポイント

妊娠中は体調が日々変化しますし、お腹が大きくなるにつれて通うのも一苦労だと思います。

そんな時にこそ、「アクセスの良さ」は歯科医院選びの大事な条件になります。駅から近いクリニックだと通いやすいですよね!

当院は地下鉄御堂筋線の心斎橋駅のすぐ目の前に立地しているため、どの年代の方でも負担なく通いやすいです。

通院のハードルが低ければ、無理せず定期的なメンテナンスが継続しやすくなります。

6−2 妊婦さんへの配慮がある医院を選ぶ

「妊婦だけど大丈夫かな…?」と不安になる方は多いですが、安心してください。予防に力を入れている医院であれば、妊娠中の方への対応もしっかりしています。

例えば、負担がかかりにくいように診療時間を考慮したり、チェアーの姿勢を楽な位置に変えたり、まずしっかりとヒアリングを行いなるべくご希望に添えられるように対応しております。

その時の体調に合わせて無理のない範囲で施術させていただきます。

また当院は個室も完備しておりますので、お子様連れでも安心してお越しください。

7 最後に

歯科医院のスタッフ

妊娠中は体調が不安定なだけでなく、心も揺れやすい時期です。

そんな中で歯茎の腫れや出血など、ちょっとした変化に不安を感じる方も多いと思います。

当院には、妊娠・出産を経験し、現在子育て中のスタッフが在籍しています。妊婦さん特有のお悩みや不安にも同じお母さんとしての立場から親身に寄り添いしっかりとサポートさせていただきます。

どうしていいかわからない時こそ、1人で抱え込まず、信頼できる場所で相談することが大切です。

妊娠中のお口の健康は、お母さん自身はもちろん、生まれてくる赤ちゃんの健康にもつながる大切なケアの一つです。

「歯医者は治療に行く場所」と思わずに、予防のために気軽に通える場所としてぜひお越しください。


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