医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2025.04.30コラム

上顎側切歯(真ん中から2番目の歯)のインプラント治療について

上顎側切歯

大阪市中央区心斎橋駅から徒歩1分の西村歯科心斎橋診療所、院長の秦です。

今回のコラムは上顎側切歯のインプラントについて書きたいと思います。

側切歯は真ん中の歯(中切歯)の隣、2番目の前歯になります。

側切歯は抜歯になり欠損になる事もありますが、先天的に欠如(元々ない)になることが比較的多い歯になります。

前歯のすぐ隣にあるこの小さな歯、思った以上に大事なポジションで、笑ったときや話しているとき、自然と見える場所にあり、ちょっとしたズレや違和感でも顔全体の印象を左右することもあります。                             そのため、インプラント治療では**審美性(見た目の美しさ)と機能性(噛む力や発音)**の両方が求められる、繊細で慎重さが問われる部位なんです。

インプラントといえば「奥歯の噛み合わせを改善するもの」というイメージが強いかもしれませんが、前歯周辺でも多く行われています。

特に側切歯のような目立つ歯の場合、人工歯根の位置や角度、歯肉との調和、セラミックの色味など、あらゆる細部にこだわる必要があります。

このコラムでは、そんな上顎側切歯のインプラント治療について、できるだけわかりやすくご説明させていただきます。

このコラムをご覧になられている方がこれから治療を受ける予定でも、検討中の方にも、参考になれば幸いです。

1. 上顎側切歯ってどの歯?

上顎側切歯
歯の順番と名前

上顎側切歯は、上の前歯(中切歯)のすぐ隣にある小さな歯のこと。左右に1本ずつあり、合計2本。笑ったときにチラッと見えるこの歯は、小さいながらも顔の印象に大きな影響を与える存在です。

中切歯(真ん中の前歯)の幅は側切歯の約1.6倍(人間が美しいと思う黄金比に近似します)と言われ中切歯、側切歯のバランスが審美的に大きな影響を与えます。側切歯がちょっとでも奥に引っ込んでいたり、色味が違ったりすると、なんとなく不自然な印象になり、笑顔にも大きな影響を与えます。

2. なぜインプラント治療を選ぶのか?

側切歯を失ってしまった場合、選択肢は大きく3つあります。

1.ブリッジ
2.入れ歯(部分義歯)
3.インプラント

ブリッジは、隣接する健康な歯を削って人工歯を固定する方法です。

1.ブリッジ

ブリッジ

ブリッジで治療することの方が審美的に治療できることもありますので、必ずしもブリッジで治療することがよくないわけではあります。

ただ、両隣の歯が全く治療されていない綺麗な歯の場合はインプラント治療を第一選択と考えます。

健康な歯を削ることは2次的に虫歯になったり、多く削る必要があるので歯髄(歯の神経)を取らないといけないリスクがあります。さらに、

2.入れ歯

取り外しができるタイプなので、手入れが簡単…と思いきや、実際は異物感が強く、違和感や発音のしづらさに悩む人が多いです。審美性もやや劣り、笑ったときに金具が見えてしまうことも。

3.インプラント

インプラントは自分の歯のようにしっかり噛めて、見た目も自然。しかも、隣の歯に負担をかけないので、長期的に見て最も歯を守る方法と言えます。

3. 上顎側切歯のインプラント特有の難しさ

ここで注意しないといけないのが、どの歯でもインプラントは同じじゃない」ということです。特にこの上顎側切歯は、インプラント治療の中でも難易度が高くなります。

なぜかというと、まず骨の厚みが足りないことが多いことが挙げられます。

上顎の前歯部分は他の部位に比べて骨が薄いことが多く、特に日本人女性は骨だけでなく歯肉も薄いため審美的に治療することが難しいことがあります。

上顎側切歯のレントゲン
上顎側切歯の3Dレントゲン

骨が薄くインプラントを固定が難しいことや、十分な骨量がないと長期に安定しません。

そのため骨造成(骨を増やす処置)が必要になるケースもあります。

また、歯根が湾曲していたり、隣接歯との距離が狭いことも多く、インプラントを入れる角度や深さにはかなりの精度が求められます。少しでも位置がずれると、見た目に不自然な影が出たり、歯肉ラインが崩れたりいたします。

前歯の治療は歯の色、形だけでなく歯肉もバランスも考慮しないといけません。

4. 審美性を損なわないためのポイント

審美性を損なわないポイント

見た目にこだわる前歯の治療では、歯肉のラインが重要な要素になります。

インプラント上部冠(インプラントの被せ物)がいくら自然でも、歯肉のラインが不自然だとすべてが台無しになります。

だからこそ、治療後の歯肉の仕上がりを見越して治療計画を立てることが重要です。

事前の診断に誤りがあると、インプラント体自体は骨と結合しますが、審美的に歯を回復することはできません。

インプラント手術をする前に骨造成や歯肉移植を行い長持ちするように、審美的に治療をする前準備が必要になるケースもございます。

そして重要なのが「プロビジョナルクラウン(仮歯)」の活用です。

適切なプロビジョナルクラウンを装着することで、歯肉の形を整える時間を作り、最終的な上部冠(被せ物)を審美的に装着することができます。

このような細部まで考えてインプラント治療をすることで色や透明感、光の反射など、セラミッククラウンの色味を隣の歯、天然歯の微妙な個性に合わせて作られ審美的な歯を作ることができます。

5. 治療の流れと期間の目安

気になるのが、実際に治療を受けたらどのくらいの期間がかかるのかということ。ざっくり説明すると、以下のステップになります:

1.カウンセリング&精密検査(CT撮影)
2.口腔内写真の撮影、歯周精密検査(歯肉の状態の検査)、レントゲン撮影(インプラント治療する歯だけで無く全ての歯の状態を細かく診断します)
3.治療計画の説明
4.インプラント手術
5.治癒期間(約3〜6ヶ月)
6.仮歯装着&歯肉調整
7.最終クラウン装着

全体では4ヶ月〜8ヶ月程度が一般的ですが、骨造成が必要な場合はもう少し長引くこともあります。

6. 骨造成の必要性とその方法

上顎側切歯のインプラントでは、**骨造成(GBR)**が必要になるケースが少なくありません。

骨造成についてはコラムの”インプラント治療をしたいけど骨がない場合”を参考にしてください。

なぜなら、この部分は生まれつき骨が薄く、歯を失って時間が経つとさらに骨が吸収されてしまうからです。

骨造成とは、インプラントをしっかり支えるだけの骨を人工的に増やす処置のことを言います。

もし骨が足りない状態で無理にインプラントを埋入すると、将来的にぐらついたり、抜けてしまったりする可能性が高ま理ます。

骨造成の方法にはいくつかあります

・自家骨移植:患者自身の骨を別部位から採取して移植する方法
・人工骨使用:人工的に作られた骨補填材を使用する方法
・メンブレン使用(GBR):骨補填材の上に膜をかぶせて再生を促す

特に上顎前歯部では、薄い骨に加えて粘膜も繊細なため、外科的技術と経験が問われます。信頼できる歯科医を選ぶことが何より大切です。

7. 痛みや腫れは?インプラント手術の実際

「インプラントって痛いの?」と不安になる人、多いですよね。

実際のところ、インプラント手術は思ったより痛くないというのが多くの患者さんの声です。

というのも、手術中は局所麻酔がしっかり効いており、無痛で処置が可能だからです。

術後に痛みが少ないのも手術前にお口の中を徹底的にクリーニングし、外科処置を繊細に丁寧に処置することがポイントになります。

腫れは人によって出ることはありますが、2〜3日で腫れもなくなっていきます。

実際の手術は以下のように進みます。

インプラント手術の流れ

1.局所麻酔をします。
2.歯肉を切開し、顎骨にインプラント体が入るように骨を形成します。
3.インプラント体を埋め込みます。
4.縫合して終了です。(手術時間は30〜60分程度)

術後2〜3日は違和感があるかもしれませんが、1週間ほどでほとんどの人が元の状態に戻れます。

怖がらずに、歯科医の説明をよく聞いて準備するのが大切ですね。

8. インプラント後のメンテナンス方法

インプラントのメンテナンスを受ける様子

インプラントは長く使える治療と言われることがありますが、それはきちんとしたメンテナンスが前提です。天然歯と違って虫歯にはなりませんが、「インプラント周囲炎」という歯周病のような症状には要注意。

メンテナンスの基本は、以下の3つ

・毎日の丁寧な歯磨き(特に歯間ブラシやフロスの使用)
・定期的な歯科医院でのクリーニングとチェック(3~6ヶ月ごと)
・噛み合わせのチェックと微調整

インプラントは天然歯と違い炎症があったとしても表面化しにくいのが特徴です。

大丈夫だと思っていても、インプラント周囲炎が進行していることがあります。

そのため定期的なプロフェッショナルケアが重要になります。

歯科医院でのメンテナンスでは、インプラント周囲の状態を確認し、クリーニングや必要に応じた調整が行われます。

これを続けていれば、インプラントも長持ちし、トラブルなく使い続けることができますよ。

9. 失敗しない歯科医院の選び方

上顎側切歯のインプラント治療は、非常に繊細で難易度の高い治療です。

だからこそ、歯科医院選びは何よりも重要になります。

インプラント治療を考えている方は、以下のポイントをチェックしましょう:

・CTなどの精密検査ができる設備が整っているか
・インプラント治療の経験が豊富で、長期にメンテナンスをしているのか。
・治療する歯だけではなく、全体的に診てくれるのか。
・カウンセリングが丁寧で、質問にしっかり答えてくれるか
・無理に治療を押し付けないか(選択肢を提示してくれるか)

特に審美性を重視する前歯の治療では、実績と信頼がある歯科医を選ぶことが重要です。

西村歯科心斎橋診療所はインプラント治療の実績も多く、20年を超える症例の患者さんも多くメンテナンスに通っていただいております。

インプラント治療を考えている方のカウンセリング、治療をしたけど上手くいかなかった方などセカンドオピニオンも承っております。

ご予約はwebでも承っております。
https://planetdentale.com/reserve/about.php?web_code=4bafff33a131c05847acb798fd98e09513b212d598a35dd7880cf9d930dd0b62


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