2025.07.23コラム
「もしかして私、クサイ、、?」歯科衛生士が教える口臭の原因と今すぐできる対策

「もしかして口が臭ってる?」そんな風に心配になること、ありませんか?実は、口臭って自分ではなかなか気づきにくいものなんです。私たち歯科衛生士が診療室でよく聞くお悩みのひとつが、「口臭が気になるけど、自分ではよく分からない」という声です。
本日はこの口臭について西村歯科心斎橋診療所、口腔衛生部の叶より詳しく解説していきます。
目次
口臭=不潔なの?

人間の鼻は自分のにおいに慣れてしまうので、自分の口臭を感じにくくなります。また、毎日同じように歯磨きをしていても、実は磨き残しが原因で口臭が発生していることも少なくありません。
しかし、大切なのは「口臭=不潔」という思い込みを捨てることです。寝起きや空腹時、緊張したときなど、一時的に誰でも口臭は発生します。これは自然な生理現象で、必ずしも病気というわけではありません。
ですが、もしその口臭が長時間続くようであれば、何かしらの原因が隠れている可能性がありますので、その原因を突き止めて、正しくケアすることが、口臭対策の第一歩です。
口臭の主な原因とは?

① 舌苔(ぜったい)によるもの
意外と知られていないのが「舌苔(ぜったい)」が原因の口臭です。舌の表面には小さな突起(舌乳頭)があり、その隙間に食べかすや細菌がたまりやすくなります。この時に白っぽく見えているものが「舌苔」です。
この舌苔が分解されるときに、揮発性硫黄化合物(VSC)というにおいの強いガスが発生し、これが強い口臭の原因となります。
舌苔は、見た目でも確認しやすく、朝起きたときに鏡で舌をチェックしてみると、白くなっていることがあると思います。これを毎日少しずつ「舌専用ブラシ」を使ってきれいにするだけで口臭予防にも繋がり、最近の研究では感染症対策にも効果があることがわかっています。
② 歯周病や虫歯の影響
歯ぐきが赤く腫れていたり、出血しやすかったりする場合は要注意です。それは歯周病のサインかもしれません。歯周病は、歯と歯ぐきの間にできた「歯周ポケット」に汚れや細菌がたまり、悪臭を放つ原因になります。
また、虫歯が進行すると、歯の中で細菌が繁殖し腐敗臭のようなにおいを出すこともあります。これらは自然には治らないため、早めに歯科医院で治療することが大切です。
③ 食べ物や生活習慣が関係する場合
ニンニク、ネギ、アルコールなど、においの強い食べ物を摂った後の口臭は、一時的なものですが気になりますよね。さらに、喫煙や過度なダイエット、糖質制限などの生活習慣も、体内の代謝バランスに影響して口臭を引き起こすことがあります。
実は「○○」が原因だった!見落としがちな口臭の元とは?

① 口呼吸の習慣
最近、増えているのが「口呼吸」による口臭。常に口を開けて呼吸していると、口の中が乾燥して唾液の量が減ります。唾液には殺菌作用があるため、これが減ることで細菌が増殖し、においが発生しやすくなります。
特に寝ているときに口を開けて寝るクセがある方は、朝起きたときの口臭が強くなりがちです。鼻呼吸を意識することや鼻づまりなどの症状が原因で起きている場合は耳鼻科で相談していただくこともおすすめです。
口呼吸は、口臭だけでなくお口周りの筋力の低下にも繋がるため、長期的な目線で見ると早い段階で改善しておくことが大切です。
② ストレスと唾液の関係
実は、ストレスも口臭の隠れた原因です。ストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れ、唾液の分泌が減少します。唾液が少ないと、お口の中の細菌が増え、においの原因となってしまうのです。
リラックスする時間を作ったり、よく噛んで食べたりすることで唾液の分泌が促され、口臭対策になります。
③ 胃腸の不調や内科的要因
「歯も歯ぐきも問題ないのに口臭が気になる…」という方は、胃腸の不調が原因かもしれません。逆流性食道炎や胃の不調、肝臓・腎臓疾患など、内科的な要因で口臭が起こることもあります。
この場合は、歯科だけでなく内科での診断も必要になります。体調と口臭の関係に気づくことも、健康管理の大切なヒントにつながります。
歯科衛生士が教える!口臭を防ぐ正しいケア方法

① 毎日のブラッシングだけでOK?
毎日歯磨きをしているのに口臭が…という方、実はかなり多いんです。というのも、ただ磨いているだけでは、実は細菌の温床となる「歯垢(プラーク)」がきれいに落ちていない場合があります。
特に、奥歯の奥の方や歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目などは磨き残しやすいポイントです。力任せに磨くのではなく、やさしく丁寧に磨き残しは20%以下を目指しましょう。
人それぞれ歯並びや治療歯の有無などによって、お口の中の状況がみなさん違ってくるため、それに応じたケア用品の選択が必要になってきます。
自己流の歯磨き方法では意外と磨いているつもりでも磨けていない場合があるため、歯科医院で一度相談されることをおすすめします。
② 舌のケアはどうすればいい?
舌の表面、毎日チェックできていますか?白っぽくなっていたり、ざらつきや粘つきを感じたりする場合、それは「舌苔」がたまっている可能性があります。
舌苔があると口臭の原因になるだけでなく、味覚にも影響します。通常の歯ブラシで強くこすると傷つけてしまうため、専用の「舌ブラシ」を使うのがおすすめです。
使い方は簡単です。朝の歯磨きの後に、舌の奥から手前にやさしく1〜2回こするだけでOK。力を入れすぎず、「なでる」感覚で行うのがポイントです。
③ デンタルフロス・歯間ブラシ・マウスウォッシュの使い方
歯ブラシだけでは落としきれない汚れ、それが「歯と歯の間のプラーク」です。ここに残った食べかすや細菌が発酵してにおいを発することがあります。
そこで役立つのがデンタルフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具です。毎晩の歯磨きにプラスするだけで、口臭対策がグッと効果的になります。
マウスウォッシュも上手に取り入れるとなお良いです。マウスウォッシュは主に「洗口液」と「液体歯磨」に分けられるのですが、殺菌効果のあるタイプを使えば、口の中の細菌を減らし、清潔感も長持ちします。ただし、マウスウォッシュだけで済ませるのではなく、あくまで「仕上げ」もしくは「歯ブラシ前」に使用するのがおすすめです。
歯科医院でできる口臭対策とは?

① プロによるクリーニングの効果
毎日きちんとケアしているつもりでも、どうしても落としきれない汚れがお口の中には存在します。歯石やバイオフィルムなどこびりついたプラークはお家でのケアでは取れません。
そんな時こそ、歯科医院でのプロケアの出番です。専用の器具を使った「スケーリング」や「PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)」で、歯の表面をツルツルに磨き上げます。
歯石や汚れが取り除かれることで、口の中の細菌数も大幅に減り、口臭の改善につながります。患者さんからも「息がスッキリした」「口の中が軽くなった」とよく言われます。
現在は、さまざまな専用の器具・機材があり、出来るだけ歯面を傷つけないように健康なお口の中の状態を長く維持できるように工夫しながら当院ではプロフェッショナルケアを行っています。
② 定期検診の重要性
「痛くないから歯医者に行かない」実はこれが口臭リスクを高める大きな要因です。虫歯や歯周病は、痛みが出る前から進行しており、知らないうちににおいの原因となっているケースが多いです。
定期検診では、歯科医師や歯科衛生士が歯ぐきの状態や歯石のたまり具合をチェックしたり、定期的なレントゲン撮影や口腔内写真で記録をすることによって、虫歯や歯周病をできるだけ早いタイミングで発見し必要に応じて治療が行えたり、治療はせずに原因の解決を行うことができれば、経過観察ですむ場合が多く存在します。そして、普段のセルフケアでは落としきれない細菌は定期的なプロフェッショナルケアでお口の中を綺麗に保つことで長く健康な状態を維持することができます。
特に口臭が気になる方は、3ヶ月に1回の定期検診がおすすめです。
当院の予防メンテナンスはこちらから確認できます。