2024.03.26コラム
歯ぐきから出血する、歯がぐらぐらする人は歯周病かも知れません。
テレビのCMでよくこんなことを耳にしませんか?
”30代以上の3人に2人が歯周病になっています。”この言葉を聞いてどう思われますか?
みなさんは、30代以上の3人に2人が歯がぐらぐらしていて、口臭もあり、噛めない状態だと思われますか?
いいえ、心配はございません。
歯周病は軽度な状態から重度な状態がありますので、まずはご自身のお口の中の状態をよく知ることが大切です。
目次
歯周病はどんな病気?
歯周病は歯を支えている組織が炎症により付着が破壊され、骨(歯槽骨)が吸収(無くなる)されることにより、歯がグラグラしてきて、更に進行すると歯が抜けてしまう疾患です。
症状としては歯肉が腫れる、歯磨きをしたときに出血がある、口臭がある、硬いものが噛めないなどが挙げられます。
歯周病の進行度について
歯周病の進行度について
歯周病は歯肉の付着の喪失度、歯槽骨(歯を支える骨)の喪失度合いから、軽度、中等度、重度と分けることができます。
現在は歯周病の新分類によりもっと詳しくステージと進行度に分類されます。
それにより、より具体的に治療の選択をすることができます。
歯周病の進行度を調べる方法
歯周病の進行を調べる一般的で正確な方法が、プローブを用いた歯周組織検査で歯周ポケットの深さ(何mmか)を測定します。3mmまでは健康な状態です。
歯周病が進行、歯の周りの組織の破壊があれば、この数値は大きくなります。
プローブを用いて検査をした時に出血があるかどうかも歯周病の診断において重要な項目になります。
例えば深さが5mmで出血があった場合、歯周ポケットは歯周病の活動性が高いと診断され出血がなければ活動性が低い、つまり進行が止まっている状態と言えます。
歯周組織検査をする場合は歯の動揺度(グラグラしているか?)も記録します。
口腔内写真とレントゲンを撮影し、歯を支えている骨(歯槽骨)の状況を確認します。
歯の根っこ(歯根)の形態は歯によって違いますし、人によって少し違いがあります。あらかじめレントゲン撮影することによって、歯周組織検査も正確に行えます。
歯周病の治療
プラークコントロール
歯周病治療において最も重要なことが原因の除去、プラークコントロールです。
プラークコントロール(お口の中の清掃状態)が良くないと歯周病治療のいかなる治療も良い結果につながりません。
歯石の除去
歯石はお口の中の細菌(プラーク)とお口の中の成分が石灰化し、歯に沈着したものを指します。
歯石には2種類あり、歯肉縁より上についた白い歯肉縁上歯石と歯肉縁より下についた黒い歯肉縁下歯石があります。
歯肉縁上歯石が白いのは構成されている成分が唾液由来で、歯肉縁下歯石が黒いのは血液を主成分としているからと言われています。
よくメンテナンスで毎月歯科医院へ「歯石を取ってもらっています。」とおっしゃる方が来院されます。
しかし、お口の中を検査すると歯肉縁下歯石はびっしり付いたままなことがよくあります。
では歯石はどちらかだけか取ればいいのでしょうか?答えは”いいえ”で、両方取ることが望ましいです。
定期メンテナンス
治療が終了すればメンテナンスに移行します。
歯周病の治療はいつ再発するかわかりませんので、定期的にメンテナンスを受けることにより良い状態を維持することが必要です。
定期メンテナンスには分類があります。
・予防的メンテナンス(Preventive maintenance)
・治療後メンテナンス(Post-treatment maintenance)
・試行的メンテナンス(Trial maintenance)
・妥協的メンテナンス(Compromised maintenance)
歯科衛生士は自分の患者さんがどのメンテナンスをしているか、よく理解しないといけないですよね。
でも決して”妥協的”を”諦める”と捉えず患者さんと寄り添って頑張ってほしいですね。
メンテナンスで最もいけないことは中断することですから。
当院で行う歯周病治療と予防について
①レントゲン撮影、歯周組織検査をします。
②担当の歯科衛生士が歯磨きの指導をさせていただきます。
効率よくプラークを除去できるように指導させていただきます。
歯ブラシや歯間ブラシなどもお一人お一人に合ったものをご提案させていただきます。
歯ブラシにかかる時間や頻度を変えることは生活リズムを変えることになりますので、実は非常にハードルが高いことなのです。
しかし、先に述べましたが適切なプラークコントロールができないと良い結果は出ません。
ポジティブに考えますと、歯磨きを適切に行うと良い結果が生まれる可能性が高くなる!とも考えられます。
がんばってください!患者さんのプラークコントロールが良くなると担当衛生士はうれしいものなんです。
歯石の除去
歯肉縁上に沈着した歯石を超音波スケーラーを使って除去します。
当院の歯科衛生士は痛くないように処置できるようにトレーニングを行なっております。
歯がしみるや痛みなどあればご遠慮なくおっしゃってください。
歯肉縁上の歯石を取った後、一定期間経って再度歯周組織検査を行い、歯肉縁下歯石の除去が必要であれば治療は継続しますが、問題がなければ定期メンテナンスに移行します。
歯肉縁下に付着した歯石を取ります。
歯周病の進行度によって回数は変わります。
歯周ポケットに器具を挿入しますので、人によっては痛みを感じることがあります。その際は必要であれば麻酔もいたします。
当院の歯科衛生士は歯科麻酔の講習を受けていますのでご安心ください。
再検査
歯周組織検査を再度行い、さらに治療が必要な場合は歯周外科に移行します。
そして、プラークコントロールが20%以下や出血するところが10%以内などの基準を満たすことができれば定期メンテナンスに移行します。
歯周外科
外科的治療をせず(非外科)で歯肉縁下歯石が取れるのは歯周ポケットが約6mmくらいまでで、前歯か奥歯か、歯の根っこ(歯根)が1本なのか複数あるのかで器具の到達度が違いますので、それによって結果に違いがでます。
歯石の取り残しがある場合や、歯ブラシが当たりやすくするために歯周外科を行います。
一言で歯周外科と言いましても、術式は目的のために様々あります。しかし4mm以上の歯周ポケットに対して必ず手術を行うわけではなく、歯周外科に移行せずに引き続き非外科でのアプローチをする場合もあります。
定期メンテナンスへ
治療が終了すれば定期メンテナンスに移行します。
その方のリスクにもよりますが、一般的に間隔は3~6ヶ月が推奨されます。
理由はプロフェッショナルケアを行い細菌が一度減ったとしても、3ヶ月後には元に戻るという文献もありますし、歯周治療の結果がさまざまな方法で実施した場合、どのように差が出たのかを調べた結果、概ね3ヶ月間隔でメンテナンスを受けている人たちの結果が良かったですよ。という文献もあります。
定期メンテナンスの期間は担当医、担当衛生士、患者さんと相談して決めます。
しかし、歯周病のリスクが高い方でも「面倒だから6ヶ月に一度のメンテナンスにして欲しい」と思われるかもしれませんが、その分歯周病が悪化してしまうリスクは高まりますのでよく相談して決めましょう。
まとめ
歯ぐきから出血する、歯がぐらぐらする、口臭がするなどの自覚症状がある方、近親者に歯周病の人がいる方など気になる方はまず歯科医院を受診されることをお勧めします。
歯周病は虫歯と違って自覚症状が出にくい病気ですので気付かず進行することもあります。
全ての歯肉に炎症がある状態であるとすると、手のひら分の潰瘍があることになります。
もし、その潰瘍が胃に合った場合どう感じますか?また、歯周病は近年様々な全身疾患と関係すると言われています。
特に糖尿病は相関関係にあることが報告されています。
糖尿病なので歯周病になりやすい、歯周病なので糖尿病が改善されにくいなど、、、
歯周病を治療すること、予防をすることは健康にも繋がります。
ぜひ歯科医院を健康増進のために利用してください。
歯周病治療、歯周病予防メンテナンスは西村歯科心斎橋診療所にお任せください。
当院ではすべての患者さんにメンテナンスをお勧めしております。
当院では担当衛生士制で患者さんとマッチングを行い、1人の衛生士が担当いたします。
患者さんの健康状態は週1回の院内カンファレンスや来院される前の朝礼にて全員で共有するようにしております。
全ての人が健康な歯で過ごせますように。