2024.03.12コラム
インプラント治療は危険な治療なのか?
インプラント治療が日本の臨床に応用されるようになって30年以上が経過しました。
当医院は1998年に開院し、当時から多くの患者様にインプラント治療を行なってきました。
そして、20数年経過した現在も問題なく定期検診で拝見させて頂いている方が多くいらっしゃいます。
そのため、インプラント治療は適切に行うことができれば危険ではありません。
今回は、インプラント治療を安全に行うためのポイントをお伝えさせて頂きます。
目次
インプラント治療とは?
チタン製のインプラント体が骨と結合(Occeointegration)し、インプラント体(人工歯根)に上部構造を装着することで自分の歯のように咬めるようになる治療です。
チタンと骨が結合することは、1962年にスウェーデンのブローネマルク医師が動物実験において偶然発見されました。
インプラントは危険な治療なのか?
答えは手術前の診断を的確に行えば、決して危険な治療ではありません。
20年以上前には歯科医院でインプラント治療を施術する場合、歯科用レントゲンと口腔内の模型で診断していました。
そのためさまざまな偶発症が起きましたが、現在は歯科用CTや口腔内模型をスキャニングし、非常に高い精度で診断ができるようになり、安全性は飛躍的に伸びました。
また、術式も確立されたことでより安全に治療を受けることができるようになりました。
インプラント治療のメリットとデメリット
インプラント治療のメリット
インプラント治療の最大のメリットは、
①他の歯を傷つけることなく失った歯を補うことができることです。
自分の歯を失った場合に治療する方法は、入れ歯、ブリッジと選択肢があります。
しかし両方とも失った歯を補うのに、他の歯に負担をかけてしまいます。
ブリッジにすると両隣の歯を削らないといけません。
しかし気をつけないといけないのが、インプラント治療が歯を失ったときに、すべての場合において治療する最高で最良の治療ではないことを忘れてはいけません。
②自分の歯のように咬めることができる。
適切な骨の位置にインプラントを入れることができると、自分の歯のように噛むことができます。
③見た目が審美的
卓越した技工士が補綴物の作成に携わるので、天然歯に近い見た目になります。
インプラント治療のデメリット
①治療費が高額になることがある。
相場は35万円〜50万円/1本。
②外科処置が必要。
③治療期間が長くなる。
上顎の歯では3〜6ヶ月、下顎の歯は8週間〜4ヶ月
インプラント治療を受ける前に知っておくべきこと
インプラント手術と全身疾患
前述しましたが、インプラント手術は様々な診療機器、技術の革新により非常に安全に受けることができます。
しかし、他の外科手術と同じように全身疾患、持病がある方は注意が必要です。
①糖尿病の方
糖尿病の方は傷口が治りにくく、感染しやすい傾向にあります。
手術可能かの目安はHbA1cが7.0未満が望ましいと言われています。
②抗凝固剤を服用している方
手術中、手術後に出血が多くなります。
PT-INR値3.0以下であれば服用した状態で手術が可能です。
当院では念の為、担当医師と対診書で病状を把握し手術を行います。
③骨粗鬆薬を服用されている方
顎骨壊死のリスクがあります。
過去に当院での手術によって、顎骨壊死を起こしたケースはございませんが、今後のメンテナンスなどを考えると慎重に判断する必要があります。骨粗鬆症には栄養療法、運動が有効と言われています。
インプラントメンテナンスについて
インプラントは天然歯と比べて自覚症状が出にくいため、インプラント周囲の骨が多く失われることがあります。そのため天然歯と同様、専門的な定期メンテナンスが重要です。
インプラントは何年持つのか?
答えとしては人それぞれ個人差があり正確に何年とは言えません。
30年以上安定して使用されている方や7〜8年で問題が起きる方もいらっしゃいます。
長期に安定している方の共通点は定期的なメンテナンスに来院されていることです。
前述もしましたが、インプラントは自分の歯と周囲の毛細血管の量などから自覚症状が出にくいのが特徴です。そのため早期に発見し対応することが最も重要です。
インプラントを長期に安定させるために重要なことは?
①適切な診断
インプラントを入れて、歯を作ることだけが目的ではなく、まず歯を失った理由を考えて処置することが大切です。
②インプラント埋入位置
インプラントを埋入する位置がよくないと清掃しにくいという問題を残してしまいます。そうするとプラークがインプラント周囲に付着し、インプラント周囲炎の原因となります。
③メンテナンスがしやすいインプラント上部構造
天然歯のようにとは言いますが、天然歯とインプラントは部位によって骨に埋まっている部分(歯根とインプラント体)に大きな違いがあります。
なのでインプラント上部構造を天然歯と同じ形に作成してしまいますと、清掃性が悪くなることがあります。
当医院では長期に安定し使用していただくことを最重要に考えています。
④毎日のセルフコントロール(適切な歯ブラシ)
インプラントは虫歯になることはありませんが、歯周病には罹患します。
そのためご自身でのプラークコントロールが最も重要です。
⑤定期的なメンテナンス
当院では専門の歯科衛生士が細かくチェックしプロフェッショナルクリーニングをいたします。
インプラントは天然歯と違い”見た目”だけでは判断しにくいため定期的にレントゲン撮影も行いインプラント周囲骨の状況をチェックします。
当院でのインプラント手術までの流れ
カウンセリング
口腔内写真、レントゲンまたはCTを撮影して口腔内を診査します。
カウンセリングルームにてコーディネーターと共に診断結果、起きうることを説明します。
コーディネーターからは費用と治療期間、スケジュールについて説明いたします。
その際は患者様のご希望やご質問を聞かせていただきます。
術前診査
歯周組織検査(歯周病の有無、進行度を検査)、レントゲン撮影・口腔内写真撮影(治療部位だけでなく、他の歯の状態を確認します)・口腔内模型を作製し噛み合わせの診断を行い、持病や服用されているお薬などの問診をいたします。
手術前の注意事項の説明
当日は運動ができないこと、飲酒やタバコをできるだけ控えていただくことや、現在服用中のお薬についてもお聞かせいただきます。基本的には抜歯後の注意事項とあまり変わりません。
手術当日
血圧、脈拍を測定し、手術前の問診を行います。
口腔内を専門の歯科衛生士が徹底的にクリーニングをし、お口の中が清潔な状態で手術できるようにします。
麻酔をして、お口まわりを消毒して手術室へ移動していただきます。
まとめ
インプラントは歯を失った場合に有効な治療法です。
歯科用CBCTの登場や、インプラント手術術式の確立などにより、より安全に処置ができるようになりました。
しかし、他の歯科治療と同様、適切に診査し診断することが大切です。
そして治療が終了した後のセルフケア、定期的なメンテナンスがとても大切です。
オッセオインテグレーションインプラントを発見されましたブローネマルク医師はこう仰ったそうです。
”インプラント療法は人類にとって福音になるでしょう”
そのお言葉のように再び噛めるようになり大変満足いただいている方も多くいらっしゃいます。
しかし世の中ではインプラントによるトラブルも多く報告されています。
インプラント治療は歯を失った時に有効な治療法ではありますが、常に最良の治療法である訳ではありません。
私は常にそう思いながら臨床をしております。
インプラント治療をご検討の方は西村歯科 心斎橋診療所にお任せください。
当院は大阪でも屈指のインプラント治療経験数があるだけではなく、インプラント治療に携わった歴史も長い歯科医院です。
その経験から患者様にとって良い方法を提案させていただきますので、悩まれている方はまずはご相談でお越しください。
歯科医師とコーディネーターがお話を聞かせていただきます。