医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2025.09.01Newコラム

インプラント治療後の痛みについて

インプラント治療前の口腔内
インプラント治療の口腔内

はじめに

こんにちは。心斎橋駅から徒歩1分にある西村歯科 心斎橋診療所で院長をしております秦です。

インプラント治療を受けるとき、多くの方が心配されるのが「手術後の痛み」です。インプラントは外科的な処置を伴うため、どうしても多少の痛みや腫れが出ることがあります。「どのくらい痛むのだろう?」「もし長く続いたらどうしよう」と不安に感じる方は少なくありません。

しかし実際には、適切な処置とケアを行えば痛みは一時的なものに過ぎず、数日から1週間程度で落ち着くのが一般的です。このコラムでは、インプラント治療後に起こる痛みの原因や経過、自宅でのケア方法、注意すべき症状について、できるだけわかりやすい言葉でご説明します。

インプラント治療とは?

インプラント治療のイメージ

インプラント治療は「失った歯を取り戻す」ための方法のひとつです。入れ歯やブリッジと違い、人工の歯根を骨に埋め込むことで、まるで自分の歯のようにしっかり噛むことができます。

人工の歯根を骨に埋め込む治療

インプラントはチタン製の小さなネジのような形をしており、顎の骨に直接埋め込まれます。その上に人工の歯を取り付けることで、自然な見た目と噛み心地を実現します。

手術の流れ(麻酔・埋入・治癒)

手術は局所麻酔を使って行うため、処置中の痛みはほとんどありません。インプラントを骨に埋め込んだ後は、骨と結合する「治癒期間」が必要で、数か月かけて安定させていきます。

治療後の経過が重要な理由

手術自体は数時間で終わりますが、実は大切なのは「その後の回復過程」です。痛みや腫れがどう経過するかを理解しておくことで、不安を減らし、安心して治療を受けることができます。

インプラント手術後に痛みが出る原因

インプラント治療後の痛みには、いくつかの理由があります。

外科処置による一時的な炎症

インプラント手術は、歯ぐきを切開し、骨に穴を開けて人工歯根を埋め込む処置です。そのため、体が「傷を治そう」とする自然な反応として炎症が起こり、痛みや腫れが生じます。

骨や歯ぐきのダメージ

骨や歯ぐきは手術によって刺激を受けます。手術後はまだ組織が回復途中のため、噛んだときや触れたときに違和感を感じることがあります。

縫合部位の違和感

歯ぐきを縫った部分は、数日間はツッパリ感やジンジンするような痛みが出ることがあります。抜糸すれば違和感は徐々に解消します。

噛み合わせや圧力による刺激

術後すぐに強く噛んだりすると、インプラント周囲に過度な力がかかり、痛みを感じやすくなります。

痛みの経過と目安

「どのくらいで痛みが引くのか?」は、患者さんが最も気になる点です。

手術直後~数日間の痛み

手術当日は麻酔が切れると鈍い痛みが出てきます。2~3日目がピークで、その後徐々に落ち着いていきます。腫れも同じように数日で治まるのが一般的です。

1週間後の状態

通常は痛みも腫れもかなり軽減しています。軽い違和感が残る程度で、日常生活に支障はほとんどありません。

1か月後の注意点

骨とインプラントが結合する過程では、痛みはほとんどなくなります。ただし、噛んだときに強い痛みを感じるようなら要注意です。

長引く痛みの危険サイン

・2週間以上痛みや腫れが続く
・ズキズキする強い痛みが出てくる
・インプラントの周りが赤く腫れている
・出血や膿が出る

これらは感染や結合不良の可能性があり、早めに歯科医院でのチェックが必要です。

痛みが強い場合に考えられるトラブル

インプラント治療後の痛みは一時的なものが多いですが、中には「通常より強い」「長引いている」と感じるケースもあります。その場合、以下のようなトラブルが関係している可能性があります。

インプラント埋入時の摩擦熱

ヤケド注意を促すイメージ

インプラントはネジ状の構造になっており、骨に”噛み込む”ようになっています。

つまりインプラントを埋入(骨に入れる)時には骨と摩擦が起きます。それにより発生した摩擦熱により骨が”火傷”=オーバーヒートを起こすと痛みが強く、長く生じます。もし痛みが長く続く場合は必ず歯科医院に相談してください。

感染や炎症が広がっている場合

手術部位に細菌が入ると、歯ぐきや骨に炎症が起こり、痛みや腫れが強く出ます。膿がたまるとズキズキした痛みや口臭の原因になることもあります。早めの抗菌薬投与や洗浄が必要になります。

骨との結合が不十分な場合

インプラントは骨としっかり結合することで安定します。もし骨の量や質が不十分で結合が弱いと、違和感や痛みが出やすくなります。この場合は追加の処置が必要になることもあります。

神経に近い位置への埋入による痛み

下の奥歯のインプラントでは、神経に近い部分に埋め込まれることがあります。まれに神経に触れてしまうと、しびれや痛みが長引く原因になります。

インプラント周囲炎

インプラントの周囲に炎症が起こる「インプラント周囲炎」は、歯周病に似た病気です。歯ぐきの腫れや出血、痛みが続く場合は早めの治療が欠かせません。放置するとインプラントを失う原因になることもあります。

自宅でできる痛みのケア

術後の痛みは完全に避けることはできませんが、自宅での工夫で和らげることができます。

処方された薬の正しい使い方

歯科医院から痛み止めや抗生物質が処方されることがあります。痛みが出てから飲むのではなく、指示通りのタイミングで服用することが大切です。これにより痛みのピークを抑えることができます。

冷やすタイングと注意点

インプラント治療後に頬を冷やす女性

術後すぐは、頬の外側から冷やすと腫れや痛みを抑えることができます。ただし、長時間冷やしすぎると逆に血流が悪くなり治りが遅くなるため、10分冷やして10分休むなどメリハリをつけましょう。手術当日は冷やしても問題ありませんが、翌日からは患部を冷やしすぎると治りが悪くなることがございます。

食事の工夫(柔らかい・温度に注意)

術後は硬いものや熱いものを避け、やわらかい食事を心がけましょう。おかゆ、スープ、ヨーグルトなどがおすすめです。刺激が少ない食事にすることで、痛みを和らげることができます。

口の清潔を保つ習慣

術後は歯ブラシが当たりにくい部分がありますが、口の中を清潔に保つことが回復を早めるカギです。手術部位は触らず他はいつものように歯磨きをして清潔に保ってください。手術した部位の隣の歯はソフトに歯ブラシを当てることをお勧めします。

歯科医院での対応が必要なケース

痛みが強い、あるいは長引く場合は早めに歯科医院に相談してください。

痛みが強まる、腫れが引かない

通常は数日で落ち着きますが、どんどん悪化するようなら感染の可能性があります。

出血が長引く

手術後の出血は一時的ですが、何日も続くようなら処置が必要です。

インプラントがぐらつく

インプラントは骨と結合して安定するものですが、ぐらつく場合は結合が不十分です。早期に確認してもらいましょう。

痛みを最小限にするためにできること

術前の検査と計画の大切さ

CT撮影などで骨の量や神経の位置を正確に把握してから治療することで、術後の痛みやトラブルを減らすことができます。

術後の指示を守る

手術後には「強くうがいをしない」「アルコールや喫煙を控える」などの注意があります。これを守ることで痛みや腫れを軽くすることができます。

定期的なメンテナンス

インプラントは入れた後のケアがとても重要です。歯科医院での定期的なクリーニングやチェックを受けることで、インプラント周囲炎を防ぎ、快適に使い続けられます。

まとめ

インプラント治療後の痛みは、多くの場合「手術による自然な炎症反応」です。通常は数日で落ち着き、1週間もすれば日常生活に支障がない程度になります。しかし、強い痛みが長引く、腫れや膿が出る、インプラントがぐらつくといった場合はトラブルのサインかもしれません。

「手術は怖い」と思うかもしれませんが、正しい知識を持ち、術後のケアをしっかり行えば安心して乗り越えることができます。痛みが不安なときは一人で抱え込まず、必ず歯科医院に相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q1: 手術はどのくらい痛いのですか?
A: 手術中は麻酔をしているので痛みはほとんどありません。術後に軽い痛みや腫れが出るのは自然な反応です。

Q2: 術後に腫れやあざが出るのは普通ですか?
A: はい。特に下顎のインプラントでは内出血によるあざが出ることがありますが、1〜2週間で消えます。

Q3: 痛み止めはどのくらい必要ですか?
A: 通常は数日で不要になります。長く飲まなければならない場合は歯科医師に相談してください。

Q4: インプラントが痛むのは失敗ですか?
A: 必ずしも失敗ではありません。自然な炎症反応のことも多いですが、長引く場合はチェックが必要です。

Q5: 痛みがなくてもメンテナンスは必要ですか?
A: はい。痛みがなくてもインプラント周囲炎は進行することがあります。定期的なメンテナンスが欠かせません。


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