医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2024.12.11コラム

インプラントとブリッジはどっちがいいのか? 奥歯編

歯のブリッジ
インプラント治療

インプラントとブリッジはどっちがいいのか?第二大臼歯編

永久歯の名称
Human permanent teeth chart vector illustration / Japanese

第二大臼歯は親知らずを除くと一番奥の歯になります。
12歳の時に萌出し、永久歯列は完成します。
第二大臼歯を失った場合、インプラント治療にするのかブリッジにするのかを選択します。
本来ブリッジは架橋装置と呼ばれ両隣りの歯を橋渡しをして失った歯を補う治療です。
第二大臼歯の後方には歯がありませんので一つ前の歯(第一大臼歯)と二つ前の歯(第二小臼
歯)を使って延長した形でブリッジを装着します。
いわゆる延長ブリッジは悪くなることが多く、あまりおすすめしない治療です。
1本の歯を補うためにさらに多くの歯を悪くすることにつながります。
そもそ第二大臼歯まで歯が必要なのか?というお話になります。
第一大臼歯までがあれば咀嚼には問題がないと言われています。
でも中には噛みにくい人もいらっしゃいますし、第二大臼歯まで存在した方が噛み合わせが安定
する人もいらっしゃいます。
噛み合わせや歯並び、顔の形などから診断し第二大臼歯の必要性を判断します。
結論!
第二大臼歯を失って治療が必要な場合はインプラント治療を選択し、延長ブリッジはおすすめし
ません。

インプラントとブリッジはどっちがいいのか?第一大臼歯編

永久歯の名称
Human permanent teeth chart vector illustration / Japanese

第一大臼歯はお口の中で最も重要な歯です。
6歳になれば萌出し、永久歯列の噛み合わせを作っていきます。
しかし6歳と低年齢に萌出しますので、虫歯になることも多い歯です。
現在は予防歯科が定着していますが、以前は小さな虫歯でも削る治療が横行していました。
虫歯の治療することも大切ですが、予防をすることの方がもっと重要です。
では第一大臼歯を失った場合インプラントにするのか、ブリッジにするのか?

歯のレントゲン写真
Back tooth hole at the right side of the mouth in panoramic dental X-Ray of caucasian man

当院ではインプラントを第一選択にしています。
とくに両隣りの歯がまだ削っていない健康な歯であればブリッジにすることは絶対ありません。
もしそのような治療を希望されるようであれば、残念ながら当院では責任を持って治療をするこ
とができません。
理由は歯を削ってブリッジにするよりインプラント治療をした方が簡単だからです。
ブリッジの治療は保険範囲内でもできるので簡単な治療と思っていませんか?
私にはそうは思えません。
あくまでも私個人の意見ですが、その理由を述べたいと思います。
理由① ブリッジを入れるために歯を削った時点で本来の噛み合わせと変わっている可能性があ
る。

頭蓋骨の模型

失った第一大臼歯をブリッジで治療するためには前後の歯を削らないといけません。
臼歯は噛み合わせにおいて”建物の柱”のような役割もしています。
左右上下4本ずつの臼歯(合計16本)があるのですが、左右に4本ずつの”柱”があるのを想像し
てください。
すでに第一大臼歯が失われていると3本の”柱”が存在していることになります。
ブリッジで治療しようとするとさらに2本削りますので元の”柱”は1本だけになります。
そこに被せ物(補綴冠)を装着したとしても元通りの”柱”になっているかは分かりません。

理由② 歯を削った後に被せ物(補綴冠)ができるまで数日かかり、その期間中に装着している
仮の歯が擦り減ってしまうことがある。
被せ物(補綴冠)を装着された経験がある人ならわかると思いますが、出来てきた被せ物を歯に
装着するためには少し調整をしないといけません(歯科医師が精密な型取りをし、技術の高い技
工士が作成すると調整は少ない)。
https://licca-implant-center.com/self-pay-and-insurance-treatment/を参考にしてくださ
い。
被せ物を作成するために製作した模型とお口の中に誤差が生じることから、装着する前に調整が
必要になります。
でもその調整量が非常に多いことがあります。
原因は歯が移動したか、顎の位置が変わったかであります。
その状態を被せ物を調整して歯や顎を元の位置に戻すのか至難の業になります。

理由③ ブリッジを入れるために歯を削ったことで神経(歯髄)を取らないといけなくなる可能
性がある。
歯を削ると歯髄(歯の神経)に近づくので偶発的に痛みが出ることがあり、症状が強いと歯髄を
取らないといけません。
歯の神経を取ると将来的に歯根破折(歯の根っこが折れる)リスクは高まります。

理由④ ブリッジが合わず悪くなった時には問題がさらに大きくなっている。
もしブリッジで治療した後にその部分が悪くなりますと、歯を抜かないといけなくなります。
1本の欠損を補うためにしたことがさらに大きな欠損を作ってしまいます。
もし最初からインプラント治療を選択していたら、後々お口の中のトラブルは大きなことではな
かったかも知れません。
インプラント治療はいつでもどんな時でも最高の治療選択であることはありませんし、治療すれ
ば2度と悪くならない治療でもありません。
でもご自身の歯を守ることはできます。

当院では患者さんの健康を考え、10年後20年後を見据えて治療、メンテナンスをしておりま
す。
なので当院では第一大臼歯が欠損した場合、インプラント治療を第一選択にいたしております。

第一大臼歯にインプラント治療をするのに注意する点

・十分な骨量があるのか。
 インプラントを長期に維持させるためには十分な骨量が必要です。
 下顎のインプラント手術の場合最も気を付けないといけないのが、下歯槽神経までの距離で
 す。
 下歯槽神経に近づきすぎると、しびれが出現することがあります。
 CT画像上で下歯槽神経までの距離をしっかり把握してインプラントの長さを決定します。
 長さだけではなく幅も重要でインプラントの直径より2~3mm幅が必要です。
 骨量が少ない時には骨造成(GBR)が必要になります。

メンブレンと骨補填材

 上顎ではソケットリフトやサイナスリフトが必要になります。
 骨がない場合の対応については下記を参考にしてください。
https://licca-implant-center.com/implant-treatment/

・清掃性の良い上部冠(インプラントの被せ物)が装着できるか。
 噛み合う歯との距離が十分に確保できていないと技工士がインプラント上部冠の形を上手く製
 作できずに清掃性が難しし形になってしまいます。
 清掃性が悪いというのはプラークが残りやすい形、歯ブラシが当たりにくい形を言います。
 プラークを取り除くことができないとインプラント周囲炎のリスクが高くなります。

実際のケース①

歯のレントゲン写真

左下の第一大臼歯が欠損しています。
後方の歯は既に神経はなく、被せ物の中で虫歯になっています。
この状態の歯でブリッジにすると5年ほどで後方の歯が折れ、前
方の歯は虫歯になるか、破折します。

歯のレントゲン写真

第一大臼歯にインプラント治療をしています。
後方の歯は虫歯は取り除いたものの、本来の歯が薄く割れそうな
状態です。

歯のレントゲン写真

治療後8年経過しています。
インプラントは全く問題ありません。
後方の歯も現在は問題なく使用していただいております。

実際のケース②

歯のレントゲン写真

10台の時に虫歯で歯を失ってしまいました。
成長期でのインプラント治療は適応ではありません。

歯のレントゲン写真

歯が動かないように固定します。

仮の歯を装着している口内

適切な年齢になるまで仮の歯を接着して過ごします。
※歯を削らずに接着していますが、清掃性が良くなく虫歯になり
やすいので注意が必要です。

歯のレントゲン写真

成人後にインプラント治療をいたしました。
定期的に来院いただけたので両隣りの歯は虫歯にならずに傷つけ
ることはなく治療ができました。

インプラントセンターで長く治療をしていると、よくインプラントはどれくらい持つのですか?
と質問を受けます。
西村歯科では30年以上インプラント治療の歴史があり、私自身が治療したケーズも21年以上
経過しています。
20年以上経過しても全く問題なく使用されている患者さんも多くいらっしゃいます。
でも40年持ちますか?と質問されると”分かりません”とお答えします。
ある文献では15年と書かれていますが、西村歯科での治療例はもっと長期に安定してる方も多
くいらっしゃいます。
でも自信を持ってに言えるのは、歯を削らずインプラント治療をすることでご自身の歯は長く持
たせることができます。
自分の歯でしっかり噛めることは将来の健康に必ず必要なことです。
当院では患者さんの健康を考え10年後20年後を見据えた治療をご提案させていただいており
ます。


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