医療法人 西村歯科心斎橋診療所

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2024.04.17コラム

お子さんの歯並びは何を表しているのでしょうか?

心斎橋 乳歯 子供の歯 歯並び 矯正

”こどもの歯並びが悪いのは顎が小さいから”だから矯正が必要になる”と思っていませんか?
私も2019年まではそう考えていました。
”なぜ顎が小さいのか?”を考えることもありませんでした。
実はこどもの歯並びは成長を表しています。
つまり”歯並びは身体と関係している”と言われています。

口呼吸の影響

小児歯科雑誌2003年41号で小児の口呼吸に関する実態調査で仙台市内の保育園11ヶ所における年長児クラスの保護者を対象に行われた報告があります。
22.8%が口呼吸である可能性が高いという結果が出ました。
口呼吸の園児は鼻呼吸の園児と比べて以下のような傾向があったようです。

  1. 1.鼻咽頭疾患の既往率が高い。
  2. 2.口唇、口に乾燥がみられる。
  3. 3.唇が弛緩し、上唇が捲れている。
  4. 4.風邪がひきやすい。
  5. 5.よく聞き返す。
  6. 6.前歯部の咬合は正常の割合が低い。
  7. 7.咀嚼嚥下が上手にできない。
  8. 8.猫背である。

小児歯科雑誌2003年41号から引用

猫背と口呼吸の関連性

興味深いのが”猫背である”と、口と一見関係ないことまで共通点としてあることです。
口呼吸のこどもは鼻の呼吸の仕方を知らないのでしょうか?
実は哺乳類の中で口で呼吸できるのは人間だけなんです。
人間も哺乳類なので本来は鼻呼吸をしているはずです。
人は生まれた時は鼻呼吸です。

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そうではないと長い時間母乳を飲むことができないはずですよね。
では鼻呼吸のこどもがいつから口呼吸に変わってしますのでしょうか?
その前に、なぜ口呼吸のこどもが猫背であるのかと言いますと、頭を前に出さないと(ストレートネック)の状態ではないと空気が通る気道が狭くて息ができないからです。
頭が前(ホワードヘッドポスチャー)になると身体の代償で背中が丸くなります。
そして少し膝も曲がります。
子どもたちが立って並んでいるところを見てみてください。
実はまっすぐ立てているこどもは少なくなっています。
先ほどご紹介しました実態調査は今から20年以上前です。
2012年~2014年に幼稚園児678名に対して行った調査では、歯並びに問題がある割合は全体の75%で、口呼吸者は45%だっとた報告があります。

※全身に目を向けて、変わる、広がる 子どもの口腔機能を育む取り組み

クインテッセンス出版から引用

このデータも約10年前です。
では現在はと言いますと、当時より深刻になっていると思います。

こどもの成長・発育に関連すること

  1. ・こどもの発育状態をチェック
  2. ・なぜ口呼吸になるのか?
  3. ・どのようなことに注意するべきなのか?
  4. ・低位舌による歯並びの変化
  5. ・こどもの発育は他業種が注目している。
  6. ・当院で提供している筋機能訓練

こどもの発育状態をチェック

  1. □お口がポカンとあいている。
  2. □猫背
  3. □食事中くちゃくちゃと音がする。
  4. □食べ物に好き嫌いが多い。
  5. □いびきをかく。
  6. □飲み込むときに頭が上下にうなずくように動く。
  7. □鼻がつまっている。鼻炎と言われたことがある。
  8. □おねしょが治らない。

2つ以上当てはまる場合は口呼吸の可能性があります。

なぜ口呼吸になるのか?

様々な理由がある思いますが、歯科からの観点で申し上げます。
ズバリ舌の位置が良くないために口呼吸になります。
安静時に舌は本来はうわ顎(上顎)の天井(口蓋)に触れています。
口呼吸のこどもは舌が口蓋に引っ付かずに低位な状態にあります。
舌が低位になると気道が狭くなり、頭を前に出して気道を確保します。

鼻から空気が通る鼻腔は”力(圧)”がかからないと広がりません。
つまり空気が通らないと圧がかからないので鼻腔は大きくなりません。

心斎橋 子供の歯 口呼吸の関連性 鼻呼吸 乳歯

また舌が口蓋に触れ、圧がかかることにより、口蓋を広がり、その結果、鼻腔も広がります。

どのようなことを注意すべきなのか?

赤ちゃんは生まれたときは鼻呼吸です。
舌が口蓋に触れるようにするためには、口蓋が広く、歯並び(歯列)が広くないといけません。
歯が生える前に歯列、口蓋を広げるにはどうすればいいのでしょうか?
硬いものを噛む?それとも、歯がないのに舌を鍛える?
それも、赤ちゃんには言葉で伝えることができません。

ではどうすればいいのでしょうか?
お分かりの方もおられると思いますが、母乳を飲むときにしっかりとお母さんのおっぱいをくわえることが大切だと言われています。
それを”ラッチオン”と言います。

赤ちゃんがお口全体で母乳を飲むことによって口の周りの筋肉、口蓋も育ちます。
こどもの歯並びは歯が生える前から始まっています。
動画はピジョンのホームページをご参考ください。

https://pigeon.info/bonyu/article-277.html

”ハイハイ”の重要性

次に”ハイハイ”をしっかりすることです。
”ハイハイ”は非常に大事な動作で目の機能にも非常に重要な刺激を与えます。
赤ちゃんは”ハイハイ”をし、前進することで自分の周りの景色が後ろに流れます。
それをオプティカルフロート言い、視機能の発育に非常に重要なポイントになります。
また、”ハイハイ”をしたときに人間は舌が口蓋に触れるようになるので、”ハイハイ”の時期は人間の成長発育にとって非常に重要な時期になります。
余談ですが、人間の成長発育において一つ一つ経験しクリアしていくことが非常に大切です。
自座位ができないのに無理やり座らすような育児グッズや、早く立たせるなどは実は成長・発育には良くありません。
その子のペースで発育のステージを進んでいきましょう。
離乳食は自座位ができるようになってからと言いますが、食事をするときは食べ物を口に運んであげるのではなく、自ら食べるように身体を動かすことも必要と言われております。
細かなことはまだまだありますが、最後にスマートフォン、タブレットは視機能にも首にも口にも良くない影響があります。
ぜひ気をつけましょう。
ちなみにお母さんの本の読み聞かせは発育に良い影響を与えるそうです。

低位舌による歯並びの変化

歯は唇、頬と舌の力が拮抗したところに並びます。
舌が低位だと歯列は狭く、歯並びはガタガタになります。
低位舌は老年期にも良くない影響があります。
舌の力がなくなると、むせやすくなったり、大人になっても歯列は狭くなり、さらに低位舌になります。
筋肉は連動していて結果として背中も丸くなり膝も曲がります。

こどもの発育は多業種が注目している

動くものを目で捉えることが苦手なこどもがいます。
例えば、投げたボールを捉えることができないとか。
目では見えているけど身体を動かして捉えることができない。
視機能の低下が疑われます。
そのような子は黒板の文字をノートに書き写すことが苦手なようです。
そんなこどもたちにビジョントレーニングを提供し、こどもの発育の手助けをする検眼士さんもいらっしゃるようです。
こどもの成長発育にとって様々な原始反射を経験して越えていく必要があります。
原始反射が大人になっても残っている人は社会生活において生きにくさを感じる方も多いそうです。
そんなこどもの成長発育の手助けをしてくれるトレーナーさんもいらっしゃいます。
こどもの成長発育不全は社会的な問題にも発展しかねません。
なので多業種が注目しており、歯科もその一つであります。

当院で提供している筋機能訓練

歯並びが悪いのは、お口の問題だけでなく身体の成長発育がお口に現れていると考え、歯並びを全身の問題と捉えています。
歯並びが悪い子は姿勢も悪いことが多くあります。
お口周りの筋肉と舌をトレーニングすることで、口呼吸から鼻呼吸へ改善していくことを目的とします。
その過程において嚥下(食べ物を飲み込む行為)も改善します。
鼻呼吸を獲得すると歯並びは改善(歯並びの悪さの程度、顔面の成長具合で効果に違いはでます)し、姿勢も改善していきます。
70種類に及ぶトレーニングから個々にあったプログラムをご提供します。
鼻呼吸を獲得すると口呼吸によって起きていた様々なことが改善する可能性があります。
例えば鼻はフィルターの役割をしていますので、細菌やウィルスが身体に入るのを防ぐ役割もありますので、風邪をひきにくくなります。
口呼吸は過呼吸の状態で二酸化炭素と酸素の置換が効率的に行えず、交感神経が優位な状態になります。
睡眠時に副交感神経優位な状態で寝れますと、上質な睡眠を得られるため”夜のお漏らし”も改善が期待できます。
交感神経が優位な状態ですと身体は過緊張な状態になります。
前屈であまり曲がらない方は過緊張の状態であることが多いです。
大人の人も試してみてください。
”四つん這いになって、背中を丸めて、ゆっくり10秒時間をかけて息を吸い、10秒止める、そしてゆっくり10秒かけて息を吐く”を3回ほど試してください。
それから前屈してより曲がるようであれば、やはり交感神経優位な状態の過緊張だと思われます。
”酸素と二酸化炭素の置換が効率的に行えていない”となります。

当院ではお子さんの歯並び相談を承っております。
虫歯の予防と一緒にお話をさせていただきます。

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